ミニ・レビュー
中森明菜のカヴァー「TATTOO」のハマリ具合とジャジィさにも驚かされたが、ここに収められた楽曲は激しい感情と妖艶さを持ち、強いオーラを放っている。2008年のデビュー15周年に向けて加速する彼の4ヵ月連続リリースの最後を飾る5枚目のソロ・アルバム、傑作だ。
ガイドコメント
ソロとしては5枚目となるアルバム。2007年8月からの4ヵ月連続リリース・シングルをすべて収録した、ファン必携の一枚だ。ヴィジュアル、パンク、ロックなどにカテゴライズされない、新しい表現法があふれている。
収録曲
[Disc 1]
01receive a revelation (Instrumental)
02予感
父の死に直面した心情をうかがわせる詞がヘヴィなロック・サウンドに絡みながら、圧倒的な説得力を持って迫ってくる。ヴォーカルが激しくなればなるほどに、言葉が映し出す切なくて悲しい彩り。重たいナンバーだ。
03confusion
混沌とした想いがミクスチャーの音に姿を変え、感情の粒子を拡散する。サウンドを牽引するソリッドなギターが生み出す疾走感と粘り着くようなダークネスの交錯。清春らしい世界観を構築したロック・チューンに仕上がっている。
04愛撫
ドラマティックに、そしてヘヴィに展開するロック・チューン。4ヵ月連続リリースの最後を飾ったアルバム『FOREVER LOVE』からシングル・カットされたナンバーで、愛の深さ、強さを体感させてくれるヴォーカルが熱く胸に響く。
05note
闘病生活を送っていた父への想いをストレートに表現したナンバー。歌詞にも父の言葉が引用され、強く印象に残る。淡々としたフォーク・テイストのサウンド、シャッフルのリズムに乗せた清春のヴォーカルは、悲しげに揺れている。
06妖艶
タイトルそのままにディープで妖しげな世界を提示するコア・チューン。退廃的で絡みつくようなヴォーカルが生み出すグルーヴ。その心地よくも重たく深いうねりに身をゆだねつつ、独特の雰囲気にどっぷりと浸かりたい。
07TATTOO
本人設立のプロデュース・レーベル“mid field”第1弾シングルとして、中森明菜のヒット曲をカヴァー。華麗でセクシーなシャウトをちりばめ、清春ならではの世界に仕上げているのはさすが。クールなドラムスが最高だ。
08allow
テンポ感のあるシャッフルのリズムに乗った色気のあるヴォーカル、そしてレトロでデカダンスなサウンド・スケープ。その世界観はやはり父の死が影を落としていて、父が溺愛していたという清春の娘にも触れた一節が歌詞にもある。
09輪廻
アルバム・レコーディング中に父が他界したが、この曲には間に合い、その耳に届いた。清春が伝えたかった普遍の愛を、よどむことなくストレートに表現したエモーショナルなロック・チューン。4ヵ月連続リリースの第2弾となったシングル。
10空白ノ世界
たぶんそれは死が確定された彼の父の目から見えた風景。あまりにプライヴェートでディープすぎる世界観だからこそ、胸に響く普遍性を持ち合わせ、聴き手の心を切なく染め上げる。切迫感のあふれるロッカ・バラードだ。
11ever
アフター・ビートでスカっぽい雰囲気を持った、どことなく明るいサウンド・デザイン。清春と父の関係性を知らずとも、完成度の高い楽曲だとわかる。だが清春の父に対する愛情を理解することで、より想いの核心に触れることができる。
12MELODIES
4ヶ月連続リリースの第3弾シングル。静かに語りかけるように始まり、感情の赴くままに狂おしい思いを交えたシャウトへと高まってゆくバラードだ。伝えきれなかった思いの無念と切なさがにじんでいる。
13Lorelei
熱い衝動と退廃が入り混じったスピード感のあるアッパー・チューンで、“Lorelei”のフレーズがノリよく踊る。よりセクシーでパンキッシュに迫るヴォーカルは、アグレッシヴで高いテンションを保ち、聴き手をグッと引き寄せる。
[Disc 2]〈DVD〉
01receive a revelation
02予感
03TATTOO