ガイドコメント
フレディ・マーキュリーの余命がわずかなことを確信したメンバーが、バンドへの愛情を込めて制作した91年の渾身作。初期を彷彿させる壮大なサウンドに重厚さが加わり、美の極致を完成させた。
収録曲
01INNUENDO
ドラム・ロールからのボレロ風リズムで始まるミニ・ロック・オペラ。スティーヴ・ハウのフラメンコ・ギターが登場したり、バンドでのフラメンコ・ロックがあったりもする多様な展開を経て、最後はフレディの絶叫で幕を降ろす。全英No.1のヒットを記録。
02I'M GOING SLIGHTLY MAD
ドラム・ロールからのボレロ風リズムで始まるミニ・ロック・オペラ。スティーヴ・ハウのフラメンコ・ギターが登場したり、バンドでのフラメンコ・ロックがあったりもする多様な展開を経て、最後はフレディの絶叫で幕を降ろす。全英No.1のヒットを記録。
03HEADLONG
ブライアンのギターが先導するハード・ロッキンな曲。衰えを感じさせないフレディのヴォーカルや強力なコーラスも見事なものだが、この曲の主役はやはりギターか。弾きまくっているわけではないのだが、魅力的なプレイを披露している。
04I CAN'T LIVE WITH YOU
キャッチーなメロディを持つポップ・ソング。フレディのヴォーカルとコーラスとの絡みが楽しい。「君と一緒には生きていけない/でも君なしでも生きられない」という歌詞も秀逸。クイーンの適度に抑制された演奏がキャリアを感じさせる。
05DON'T TRY SO HARD
フレディのファルセット・ヴォーカルが美しいバラッドの佳作。ブライアンのストリングス仕様のギター・ソロも秀逸。「そんなに頑張ることはない」という歌詞も泣かせる。できれば僕らがフレディにそう言ってあげたかった、と聴くたびに思わされる曲。
06RIDE THE WILD WIND
独特の疾走感を味わえる曲。ヘヴィなドライヴ感をはらんだサウンドに乗って、フレディが「ワイルドな風に乗れ」と歌う。本来ならロジャーが歌うはずの曲だろうが、似合わないはずのフレディが歌うことで新たな魅力が生まれている。
07ALL GOD'S PEOPLE
アルバム『バルセロナ』のために用意されていたらしいフレディ流ゴスペル・ソング。ストレートに盛り上げていくわけではなく、大胆な場面転換を駆使した劇的な構成はいかにもクイーン。一時的にブルースに変貌するパートも素晴らしい。
08THESE ARE THE DAYS OF OUR LIVES
単純なサウンドと秀逸なメロディ。ここでのフレディの歌声は神々しいまでに清らかで美しい。40歳を過ぎた世代の聴き手なら実感できるはずの感覚がここにはある。そして、自身の死を覚悟した者だけが獲得できる聖なる歌声がここにはある。
09DELILAH
フレディが愛猫デライラに捧げたラブ・ソング。家で猫と遊んでいるときのフレディの笑顔が見えるような歌声がいい。まるで普段着の鼻唄みたいな、こういったタイプの曲も、もっと聴きたかったな、と思わせるくらい、ここでの彼の歌声は素敵だ。
10THE HITMAN
最初から全力で突っ走るハード・ロッキンな曲。そんなに頑張らなくても……と言いたくなる瞬間もあるけれど、とにかく1曲でも多く歌いたかったフレディの気持ちを伝えてくれる曲であり、同時に3人の健闘が伝わってくる曲でもある。
11BIJOU
シンセサイザーの清らかな響きとむせび泣くギター・ソロをフィーチャーしたインストゥルメンタル曲……かと思ったら、間奏のタイミングでフレディのヴォーカルが「運命の恋人」に向かって「Forever」と歌いかける。何度聴いても不思議な小品。
12THE SHOW MUST GO ON