ガイドコメント
72年8月30日、ニューヨークで行なわれたウィローブルック障害児施設のためのチャリティ・イベントでジョン・レノンとプラスティック・オノ・エレファンツ・メモリー・バンドの演奏を収録。
収録曲
01NEW YORK CITY
観客も含む「パワー・トゥ・ザ・ピープル」の大合唱の隙間を縫って演奏が始まる。ジョンのヴォーカルは本調子ではないものの、演奏の勢いだけは抜群。ジョンがそこで歌っているだけで聴き手を満足させてしまう魔法がこのライヴ・ヴァージョンにはある。
02IT'S SO HARD
アルバム『イマジン』からの選曲。エレファンツ・メモリー主体のバックアップ・バンドのせいか、まるでキャバレー・バンドのように下世話な演奏だが、これはこれで楽しめる。アジるように歌うジョンのヴォーカルも不調なりに健闘している。
03WOMAN IS THE NIGGER OF THE WORLD
ライヴの4ヶ月前にシングルでリリースされた当時の最新曲。バンドの演奏はヘヴィだが適度に抑制されたもの。ジョンのシャウトも控えめで、比較的メロディックに歌っている。歌詞のメッセージを明確に伝えようとしているのかもしれない。
04WELL WELL WELL
プラスティック・オノ・バンド名義でリリースされた1970年のヒット曲。バンドの演奏もタイトにまとまり、ジョンのヴォーカルも快調。ドラムスのフィルインをフィーチャーした編曲もライヴならでは。サビのクワイア・パートでは、観客も巻き込んでの大合唱が聴ける。
05INSTANT KARMA ! (WE ALL SHINE ON)
『ジョンの魂』からの選曲。決して本調子ではなかったと言われるジョンのヴォーカルだが、この曲について言えば“熱唱”と言ってもいい。抑制された演奏とも相まって、ここでのジョンの歌声は曲そのものの魅力を十二分に表現している。
06MOTHER
07COME TOGETHER
このライヴの前年10月にリリースされたヒット曲。観客の歓声も大きい。エレクトリック・ピアノを弾きながらメロディと歌詞を慈しむように歌うジョンのヴォーカルも素晴らしい。歌い終えた後の「君たちは孤独じゃないよ」というメッセージも泣かせる。
08IMAGINE
1969年にリリースされたプラスティック・オノ・バンド名義のシングル曲。ジョンの歌声は徐々に熱を帯びて、最後には壮絶なシャウトへと到る。エレファンツ・メモリー+ジム・ケルトナーによる演奏も凄まじい。このライヴ盤のベスト・テイクだろう。
09COLD TURKEY
エルヴィス・プレスリーのメジャー・デビュー曲のカヴァー。ジョンの歌声には疲労の色が見えるものの、最後の力を振り絞るかのように懸命にロックンロールしている。ロックンロールとは何かを熟知した男のパフォーマンスが堪能できる。
10HOUND DOG
観客も加わった「ギヴ・ピース・ア・チャンス」の大合唱。ここではその一部しか聴けないが、ヨーコによれば、コンサート終了後も興奮が収まらない観客たちは五番街に繰り出し、この曲を歌いながら行進したという。短いからこそ効果的な1曲。
11GIVE PEACE A CHANCE