ガイドコメント
86年のデビュー以来、常にシーンの第一線で活躍する彼らのベスト・アルバム。デビュー曲「ファイト・フォー・ユア・ライト」から2004年の「チ、チェック・イット・アウト」までを網羅した究極のセレクション。
収録曲
01SO WHAT'CHA WANT
ストレートなラップにオルガンをフィーチャーしたエキサイティングなトラック。ジミ・ヘンドリックス風ヘヴィ・ファンク・ナンバーだが、アダムが弾いてみせたギター・リフは、むしろ不調時のジミに近くて微笑ましい。
02BRASS MONKEY
03CH-CHECK IT OUT
ビースティ・ボーイズの2004年の代表曲。“CHECK IT OUT”というキャッチーなラップが印象的なパーティ・チューン。単刀直入なビートで、ヒップホップの原点に回帰したオールド・スクールなナンバー。
04NO SLEEP TILL BROOKLYN
ケリー・キング(スレイヤー)が弾くメタリカルなギター・リフをフィーチャーし、AC/DCの「TNT」まで引用したハイ・ヴォルテージなメタル・ラップ。シンガロングを喚起する曲調は、ずいぶんとハード・ロック寄りだ。
05HEY LADIES
ブラック・ミュージック検定試験にも使えそうなほど、サンプル素材が具だくさんなディスコ・ラップ。王貞治まで引き合いに出したナンパなリリックは、ヒップホップのマチズモ(=男性優位主義)な姿勢を茶化すための逆説的産物かもしれない。
06PASS THE MIC
ジョン・ボーナムのプレイを参照したドラム・ループに、ロン・カーターの即興ベース・プレイ。サンプリングながらも刺激的な顔合わせ。複数のジャンルを融合ではなく隣接させた、三食パン的な味わいのヘヴィ・トラック。
07AN OPEN LETTER TO NYC
今日までニューヨークを歌い続けてきた彼らが、音響ロック調のトラックをバックに街への想いをラヴレターのように綴る。メッセージ性あふれるフックに、“9.11”以降に強まったコミュニティ意識が感じられる。
08ROOT DOWN
ジミー・スミスのライヴ盤『ルート・ダウン』に触発された曲で、同ライヴでのベース・ラインをそのまま使ったグルーヴィな作品。実際にジミー・スミス・バンドの伴奏でラップしたようなリアリティがたまらない傑作。
09SHAKE YOUR RUMP
アルフォンス・ムザーンのドラミングなど、津々浦々の音盤から採取した素材をつなぎ、美学さえ感じさせる不連続なビートとして結実させたファンキーな傑作。ダスト・ブラザーズの細密な仕事は、もはや寄木細工職人並みだ。
10INTERGALACTIC
ヒップホップへの畏敬を感じさせる緻密なリリック上で、自らを“オールドスクール・ヒップホップの家系図出身”と定義。ヴォコーダーを使ったロボット声など、近未来感覚あふれるエレクトロ・サウンドが見事に爛漫。
11SURE SHOT
ジェレミー・スタイグ吹奏のフルートをループさせ、ファンキーな香りを強めてみせたストレートなヒップホップ・ナンバー。ファンクなサウンドに対し、リリックはパンク。これまでの女性蔑視な物言いをラップで自戒している。
12BODY MOVIN'
彼らがファットボーイ・スリムの「ロッカフェラ・スカンク」を気に入ったことから実現した顔合わせ。原曲も能天気なファンキー・トラックだが、そこにコミカルでキャッチーなエッセンスを加えたことで別種の曲調に生まれ変わっている。
13TRIPLE TROUBLE
古典中の古典であるシュガーヒル・ギャング「Rapper's Delight」を細分化して使ったグルーヴィな重厚トラックが圧巻。オールドスクールな要素を集積させた温故知新な刺激的快作は、マイク・リレーも立て板に水。
14SABOTAGE
ツッコミどころ満載の刑事ドラマ風PVも最高だった傑作ナンバー。ファズ・ベースを薬味にした轟音ハードコア・サウンドは、たとえるならばファンキーなブラック・サバス。芯となるメロディらしき存在がないところも出色。
15FIGHT FOR YOUR RIGHT
ヒップホップ、ハードコア・パンク、ハード・ロックを融合させた革新的ミクスチャー・サウンド。パーティをしたくても親にさせてもらえない、全国高校生たちの不満を代弁したこのアンセムは、全米7位の大ヒットに。
16RRNN (STRAIGHT OUTTA SHIBUYA)
ベスト盤『ソリッド・ゴールド・ヒッツ』の日本盤にのみ収録された曲。彼らの盟友である高木完のポリティカルな日本語ラップをフィーチャーしたスペイシーな楽曲で、彼のタイニーパンクス時代の音源も一部使っている。