ガイドコメント
初期ドゥービー・ブラザーズを代表する73年発表の3作目。ツイン・ギター、ツイン・ドラム、そしてトム・ジョンストンのぶっとく男臭いヴォーカル。豪快なR&Rアルバムだ。
収録曲
01NATURAL THING
ジョンストンが書いた初期の代表作のひとつ。シンセサイザーを効果的に使ったポジティヴなサウンドが頼もしい。『トゥールーズ・ストリート』のスタイルを継承しながら、さらに前進する意志を表明した『キャプテン・アンド・ミー』のオープニング・ナンバー。
02LONG TRAIN RUNNIN'
小気味よいギターのカッティングから始まるドゥービーズの代名詞のような名曲。ジョンストンの男っぽいヴォーカルとパーカッションを使ったシャープなリズム・セクションが快感。タイランのベースと間奏のマウスハープも効いている。全米8位のヒットを記録。
03CHINA GROVE
イントロのギター・カッティングだけで聴き手をドゥービーズの世界へと引きずり込む強力な曲。そのノリで最後までドライヴするスピード感もドゥービーズならでは。サンアントニオ近郊のチャイナタウンを舞台にした歌詞も面白い。全米15位のヒットを記録。
04DARK EYED CAJUN WOMAN
ストリングスをフィーチャーしたジョンストンのブルージィなラブ・バラード。「ロング・トレイン・ランニン」などのヒット曲の影に隠れているが、初期ドゥービーズを代表する名曲のひとつ。B.B.キングばりのジョンストンのギター・ソロも要チェック。
05CLEAR AS THE DRIVEN SNOW
シモンズが歌うフォーク・バラード。アコギを効果的に使ったアンプラグドなサウンドがシモンズらしいが、終盤のエレクトリック・パートではジョンストンのギター・ソロも聴ける。比喩や寓意を満載した歌詞は、シモンズ流のブルース・ソングとも言えるかも。
06WITHOUT YOU
作曲のクレジットがバンド名になっている率直なラブ・ソング。ドゥービーズらしいダイナミックなバンド・サウンドが楽しめる曲。泣きわめくツイン・リード・ギターも強力だが、本物のツイン・ドラムスの迫力がリアルに体験できるところが何よりもうれしい。
07SOUTH CITY MIDNIGHT LADY
シモンズが歌う美しいラブ・バラード。カントリー調のアコースティックなサウンドをバックに「南部の街の真夜中の淑女」への感謝の念が歌われる。ペダル・スティール・ギター、ストリングス、シンセサイザーなどが効果的に使われている。
08EVIL WOMAN
シモンズ主導のドゥービーズ版ブルース・ロック。ブルージィなギター・リフが先導するサウンドをバックに、邪悪な美女に魅せられた男のストーリーが歌われる。ドゥービーにしてはダークな色調のサウンドだが、これはこれで楽しめる曲。
09BUSTED DOWN AROUND O'CONNELLY CORNERS
わずか48秒でフェイド・アウトしてしまうアコースティック・ギターによるインストゥルメンタル曲。ジェイムズ・アール・ラフトなる人物によるこの曲を、アルバム『キャプテン・アンド・ミー』にわざわざ収録したのは、彼になんらかの思い入れがあるに違いない。
10UKIAH
サンフランシスコ近郊の町ユカイアをモチーフにした曲。豊かな自然に囲まれた高原の町で、ミュージシャンも多く住んでいたというユカイア。西海岸版ウッドストック、とでもいったところか。「俺はずっとここに留まるよ」とジョンストンも歌っている。
11THE CAPTAIN AND ME
ジョンストンが書いた同題のアルバムのタイトル曲。ドゥービーズならではのグルーヴが心地よいアコースティック・サウンドに乗って、ポスト・ヒッピー世代のライフ・スタイルについてジョンストンが歌っている。“船長と俺”のやり方は変わりつつあるらしい。