ガイドコメント
89年にリリースされた1stアルバム。オリジナル盤には収録されなかった「フレンズ・アゲイン」のシングル・ヴァージョンが追加されており、音質の向上も含めてファン注目のアイテムだ。
収録曲
01ハロー/いとこの来る日曜日
ロー・ファイな音処理をしたムーディなイントロで始まる軽快ポップ・チューン。憧れの従姉妹がやって来る日の少年の気持ちが綴られたホーム・ドラマのような歌で、軽やかなサウンドに少年のウキウキ感が投影されている。
02ボーイズ、トリコに火を放つ
一点の曇りもない爽快ポップ。小山田圭吾の青臭くもハリのある歌声が甘く響きわたる一方で、要所でダイナミックなフレーズを奏でる大御所打楽器奏者・仙波清彦のパーカッションが曲全体を引き締めている。押韻も見事。
03すてきなジョイライド
ファンに人気の高いミディアム・ポップ。宇宙旅行をテーマにした歌詞とウィスパーがかった広がりのあるヴォーカルがよくマッチしていて、楽曲全体をファンタジックに仕上げている。緻密なエフェクト処理も特筆に値する。
04コーヒーミルク・クレイジー
オシャレなボサ・ノヴァ風ナンバー。甘くてまろやかなコーヒー牛乳が大好きだと主張するチャーミングな歌。滑らかなストリングス・サウンドとソフトなヴォーカルが、まさにミルクとコーヒーのような溶け合いを見せる。
05僕のレッド・シューズ物語
テーマ・メロディを奏でるオルガンの音色が特徴的なミディアム・ポップ。お気に入りの靴への少年の強い想いを綴ったフィクショナルな歌。目立たないが、バックで展開されている速めのアコギ・ストロークなど、サウンドにはひとひねりが。
06奇妙なロリポップ
曲前後と間奏に大胆なアラビア/インド風サウンドを取り入れたユニークなナンバー。ヴォーカルの入る曲本編はオーソドックスなポップ調で、歯切れの良いリズミカルな言葉が並ぶ。内容は濃いが、演奏時間は2分弱と短め。
07ピクニックには早すぎる
春の風に誘われ、授業をサボってピクニックに出掛ける様子を描いたミディアム・ポップ・ナンバー。アコギのコード・ストロークがタイトな8ビートを刻み、メイン・テーマを奏でるハーモニカがのどかな雰囲気を醸している。
08サンバ・パレードの華麗な噂が
テケテケ・サウンドを取り入れた軽快なサーフ・ロック。サンバ・パレードがやって来る、という歌だが、サンバの要素がまったくない点がユニーク。雰囲気を一変させるエンディングでの音を外したギターも実にユーモラス。
09恋してるとか好きだとか
切れ味の良いイントロのキメ・フレーズやBメロの“what could i?”をはじめとするリズミカルな譜割りのメロディなど、タイトな8ビートをバンド全体で醸し出しているネオ・アコ・ナンバー。
10さようならパステルズ・バッヂ
ドラム・フィルを挟んでアルバム前曲から間髪を入れずに始まるアップ・ナンバー。ユニークな入り方をするAメロのバック・コーラスやシャープなサビのメロディ、ほどよく雰囲気を変えるブリッジなど、味わいどころが多い。
11やがて鐘が鳴る
アコギのコード・ストロークのフェイド・インで始まる軽快なブルーグラス風ナンバー。中盤ブレイクからのジワジワと盛り上がる展開やアップ・テンポゆえにやや早口気味のサビなどが特徴的。そしてまた間髪入れず次曲へとつながる。
12レッド・フラッグ
ドイツ民謡「もみの木」をもとにした労働歌。ギターの弾き語りによるシンプルな演奏で、ハーモニカと小山田圭吾の素朴な歌声が牧歌的なしみじみとした味わいを出している。日本では「赤旗の歌」としても知られる。
13フレンズ・アゲイン (シングル・ヴァージョン)
打ち込みトラックを取り入れたミュゼット音楽風ライト・ポップ・チューン。アコーディオンとヴァイオリンが奏でる滑らかな旋律と一語一語を丁寧に歌う甘いヴォーカルが、品のあるヨーロッパ的雰囲気を漂わせている。