ミニ・レビュー
9年ぶりのソロ2作目。自身のルーツであるハウス/テクノ・ビートを基盤に置き、例によって独創的なアイディアに満ちた国籍不明のポップ音楽を、ジャスティン・ティンバーレイクからドクター・ドレー、50セント、エルトン・ジョンまで招いて構築。お見事。★
ガイドコメント
スーパー・プロデューサーとして君臨するティンバランドのソロ・アルバム。数々の大物アーティストからプロデュースのオファーが殺到する人気者が、その独創性を存分に発揮した話題作だ。
収録曲
01OH TIMBALAND
ティンバランドの特有のバスドラ、ハイハット、スネアのそれぞれが違う拍子のとり方をしているオリジナリティにあふれたリズム・トラック。スーパー・プロデューサーが披露するラップの模範演技も安定感たっぷりだ。
02GIVE IT TO ME
数々のアーティストをスターダムに押し上げたティンバランドの魔法がいっぱい詰まった全米ナンバー1ヒット。低い温度で迫るサウンドだが、ジャスティン・ティンバーレイクとネリー・ファータドのパフォーマンスがひたすら熱い。
03RELEASE
ティンバランドのリズムとフィーチャリング参加のジャスティン・ティンバーレイクのポップ・センスが、素晴らしい化学反応を披露してくれる。分離しつつも折り重なるパーカッションと生演奏のトラックも聴き応え十分だ。
04THE WAY I ARE
ティンバランドがプロデュースし、大ヒットしたジャスティン・ティンバーレイクの「セクシー・バック」で使用したリズムが隠し味的に使われている。派手なヴォーカル・エフェクトがシンセ・サウンドと混ざり合って迫力満点だ。
05BOUNCE
暗くヘヴィなティンバランド・サウンドだが、ジャスティン・ティンバーレイクとミッシー・エリオットの芝居がかったパフォーマンスが軽快な味付けとなっている。ティンバランドの大先輩、ドクター・ドレーの安定感のあるラップも聴きどころだ。
06COME AND GET ME
ティンバランドと50セント、トニー・イエイヨーのG-ユニットの2人がマイク・リレーを披露する正統派ヒップホップ。だが、ゴスペル・タッチの完成度の高いトラックには、ネタありきの単なるインスタント・ヒップホップとの違いを強く感じる。
07KILL YOURSELF
スーパー・プロデューサーとして双璧のスコット・ストーチへのディス・ソング。ネリー・ファータドの「プロミスキュアス」のリリックを書いたアティテュードの参加が興味深い。女声コーラスとストリングス・シンセをブレンドしたトラックに説得力を感じる。
08BOARDMEETING
リズム・ヒットとラップが交互に入るアレンジはすき間を楽しむのがコツ。クール&ザ・ギャングの「ゲット・ダウン・オン・イット」とカーティス・ブロウの「ザ・ブレイクス」といったダンス・クラシックの名フレーズも飛び出すが、これはご愛嬌。
09FANTASY
フィーチャリングの女性アーティスト、マネーが主役のつやっぽいヴォーカル・チューン。80年代のプリンスの香りが漂うサウンドに、マネーの表現力にあふれた歌がうまくマッチしている。シンセだらけのアレンジもとてもキャッチーで聴きやすい。
10SCREAM
ティンバランドとデンジャの黄金コンビが織りなすオリエンタル・サウンド。ヴォーカル・パートを担当するケリ・ヒルソンとプッシーキャット・ドールズのニコル・シャージンガーのパフォーマンスがとてもパワフルな作品。
11MISCOMMUNICATION
80年代のプリンスのフレイヴァーがたくさん詰まったデンジャの単独プロデュース作品。フィーチャリングのケリ・ヒルソンとセバスチャンの熱演が印象深いが、控えめに鳴るタングー・ビートと上昇していくような派手なシンセのフレーズが最高に楽しい。
12BOMBAY
「ボンベイ」のタイトルどおり、ティンバランド好みのオリエンタル・サウンドが楽しめる派手な曲。ヒンディー語でパフォーマンスする女性アーティストのアマールの歌声が煩悩をくすぐる。音楽のグローバリゼーションの素晴らしさをつくづく感じてしまう作品だ。
13THROW IT ON ME
スウェーデンのロック・バンド、ハイヴスとティンバランドのコラボレーション作品。激しくラップするティンバランドに歪んだギター・リフとシャウトが絶妙に絡んでいく。人種の壁を越えて激しい音を探った音楽はひらめきにあふれたものだ。
14TIME
デジタル・パンク・デュオ、シー・ウォンツ・リヴェンジがフィーチャリング参加した、ティンバランド的パンクの解釈が披露される曲。8ビートが軽妙なヨコノリに処理されており、クールで前衛的でありながらポップで聴きやすいサウンドに仕上がっている。
15ONE AND ONLY
アメリカの頭脳、フォール・アウト・ボーイとティンバランドのコラボレーション作品。フォール・アウト・ボーイの速いビートとキャッチーなフレージングにティンバランドの独特なリズムが絡み付いていくアレンジがとてもスリリングだ。
16APOLOGIZE
ネリー・ファータドの「セイ・イット・ライト」を彷佛とさせるような美しいバラード。ミシェル・ブランチらの仕事で知られるグレッグ・ウェルズのプロデュースだが、ティンバランドのビートとワン・リパブリックの男っぽいヴォーカルが際立っている。
172 MAN SHOW
エルトン・ジョンとティンバランドの共同プロデュースという超強力曲。一聴して分かるエルトン・ジョンのピアノが核となる生演奏のゴスペル・アレンジは、多彩なストリングスと精緻なコーラスで演出され、リッチなサウンドに仕上がっている。
18HELLO
ハープのループと幻想的なシンセが美しいメロウなサウンドだが、アティテュードの明るいラップが新しいスパイスを加えている。ケリ・ヒルソンのクールなヴォーカルや節つきのティンバランドのラップも、確信犯的な完成度の高い曲だ。
19COME AROUND
スリランカ出身の女性アーティスト、MIAのポテンシャルが存分に発揮されているティンバランドお得意のアーティスト育成曲。ティンバランドが作り出すオリエンタル・サウンドの上でパフォーマンスする、MIAの縦横無尽な歌声が楽しい。
仕様
エンハンストCD内容:ギヴ・イット・トゥ・ミー (ビデオ)