ミニ・レビュー
何も説明もいらないね、ジャクソン・ファイブについては。で、この作品は70年に発表された3枚目のアルバムで、タイトル曲は見事全米No.1に輝いている。でもそれ以上に大切なのはバブルガムながらしっかりとソウル・コーラスを聴かせてくれるところ。
ガイドコメント
全米No.1ヒットとなったバラード「アイル・ビー・ゼア」を筆頭に名曲揃いの3rdアルバム。短いスパンでリリースされた本作だが、雨後のたけのこのような勢いの成長ぶりを窺える。
収録曲
01I'LL BE THERE
1970年にリリースされた4枚目のシングル曲。ジャクソン5のシングルとしては初のバラードで、マイケルの魅力的なハイ・トーン・ヴォイスがフィーチャーされている。ヴォーカル・グループとしての実力を改めて思い知らせた名唱による名曲。全米No.1ヒットを記録。
02READY OR NOT(HERE I COME)
トム・ベルとウィリアム・ハートが書いたドラマティックなラブ・バラード。ピアノやフルートをフィーチャーしたポップなサウンドや力強いコーラスをバックに、当時12歳のマイケルが驚異的な歌唱力で歌い上げる。大人も顔負けのパワフルな説得力はさすが天才少年。
03OH HOW HAPPY
ヒット曲「ウォー/黒い戦争」で知られるエドウィン・スター(チャールズ・ハッチャーは彼の本名)が不遇時代に書いたシェイズ・オブ・ブルーの1966年のヒット曲を、ジャーメインのヴォーカルでカヴァー。彼の歌声をサポートするマイケルらのハーモニーも光る。
04BRIDGE OVER TROUBLED WATER
サイモン&ガーファンクルのヒット曲をカヴァー。ストリングスやホーン・セクションをフィーチャーしたドラマティックなサウンドをバックにジャーメインがムーディに歌い上げる。やや控えめなコーラスも悪くはないが、ここでの主役はやはりジャーメイン。
05CAN I SEE YOU IN THE MORNING
当時のトレンドだったサイケデリック・ポップ調のラブ・バラード。細部も意外に凝っているソフト・サイケ仕様のサウンドとドリーミーなコーラスをバックに、マイケルがチャーミングな歌声を披露している。年上の女性への恋心をストレートに歌うマイケルが可愛い。
06GOIN' BACK TO INDIANA
ホーン・セクションをフィーチャーしたダウン・トゥ・アースなロックンロール。マイケルがパワフルなヴォーカルを聴かせてくれる。ジャクソン・ファミリーの故郷インディアナと地元ファンへの感謝の気持ちを込めた歌詞が泣かせる。土臭いギター・ソロもシブい。
07HOW FUNKY IS YOUR CHICKEN
飛びきりファンキーなビートが先導する陽気なストンプ・ソング。リード・ヴォーカルはマイケルだが、メンバー全員の個性的なヴォーカルがそれぞれにフィーチャーされるアレンジが秀逸。ライヴのクライマックスで演奏したら確実に盛り上がるタイプの楽しい曲。
08MAMA'S PEARL
ベリー・ゴーディ率いるソングライター・チーム、ザ・コーポレーションが書いた5枚目のシングル曲。マイケルの瑞々しいヴォーカルの魅力が炸裂する「ABC」スタイルのリズミックなポップ・ソング。ジャクソン5ならではのハーモニーも絶妙。全米2位のヒットを記録。
09REACH IN
コーラスとストリングスを効果的に駆使したドラマティックなミディアム・バラード。マイケルとジャーメインのヴォーカルと凝ったコーラスが同等にフィーチャーされている。「生きている理由を見つけなさい」と歌われる歌詞はゴスペル・ソングばりにシリアス。
10THE LOVE I SAW IN YOU WAS JUST A MIRAGE
スモーキー・ロビンソンのカヴァーで、美しいメロディのバラード。やや大人っぽい内容の歌詞だが、当時12歳のマイケルが背伸びをせず自然体で歌い、歌の合間に入るナレーションも見事に演じている。ヒット曲ではないが、ファンに愛されている隠れた名曲。
11DARLING DEAR
後年のAORにも通じるような、お洒落で大人っぽい雰囲気で迫るメロウなラブ・バラード。当時12歳のマイケルが少し背伸びをして「恋の駆け引き」について歌っている。ジャーメインのほうが似合いそうな曲だが、マイケルが歌うことで独特のニュアンスが生まれている。