スリーピー・ジョン・エステスの歌唱などで知られるブルース曲をワイルドなロック・アレンジでカヴァー。デイヴィス兄弟がヴォーカルをシェアしている。クライマックスを迎えた後にテンポ・ダウンさせるエンディングも面白い。

アコースティック・サウンドが美しいラブ・バラードは、名曲「ウェイティング・フォー・ユー」のアンプラグド・ヴァージョンのような佇まい。「鐘を鳴らせ／世界中の人に知らせよう／僕が恋をしていることを」と図々しい詞だが、レイが歌うなら許さざるを得ないか。

ギターのリフを軸にファンキーなビートに乗ったR＆B調の曲。1965年の夏、コンサート・ツアーの失敗の果てに4年間の活動禁止処分を受けた米国から英国に帰るときの彼らの気持ちが歌われているようで、“朝一番の飛行機で家に帰る”と歌われる。

ギターでカウントを取って始まり、キャッチーなメロディなど当時のヒット・メイカー、ゴフィン＝キングが書いたガール・グループのヒット曲のようにも聴けるポップ・ソング。歌詞は女の子への片思いの気持ちを綴っている。

デイヴ・デイヴィスが歌う彼のオリジナル曲。8分の6拍子のリズムをバックに、ボブ・ディランばりのヴォーカルを披露している。米国での最悪の体験をポジティヴに昇華した歌詞も見事だが、間奏でのカントリー調のギター・ソロも素晴らしい。

秀逸なギター・リフをフィーチャーした痛快なビート・ナンバー。スランプに陥っていたレイ・デイヴィスがリフ中心の曲作りへと一時的に回帰して書いた名曲。「ユー・リアリー・ガット・ミー」「オール・オブ・ザ・ナイト」と並ぶ初期の代表作。全英8位のヒットを記録。

エコー全開のキンクス版“音の壁”が楽しめるフォーク・ロック調のオリジナル曲。特にコーラスとギターの残響音が凄まじい。ハル・ブレインばりのミック・エイヴォリーのタイトなドラミングも秀逸。レイ・デイヴィスらしいクールな視点から書かれた異様に醒めた歌詞も面白い。

カリビアンなフィーリングが心地よいカリプソ調のバラード。作者レイ・デイヴィスの分身ともいえる人間嫌いの孤独なキャラクターが初めて登場した曲でもある。哀愁を漂わせたユーモラスなヴォーカルが秀逸。当時のライヴでも重要な定番曲のひとつだった。

シングル「エンド・オブ・ザ・デイ」のB面収録曲。ディランばりのフォーク・ロック調のサウンドとヴォーカルがイカしている。過去の楽しい日々を懐かしむ歌詞はレイ・デイヴィスの真骨頂。のちにデイヴィッド・ボウイやヴァン・ヘイレンもカヴァーした名曲。

プロデューサーのシェル・タルミーがリズム・ギターで演奏に参加しているR＆B調の曲。レイとデイヴがヴォーカルをシェアしている。間奏のピアノ・ソロはニッキー・ホプキンスだろうか。レイはこの曲で初めて実験的にプロデュースを担当してみた、という噂もある。

デイヴ・デイヴィスのヴォーカルとギター・ソロをフィーチャーしたミディアム・アップの陽気なビート・ナンバー。「与えられた人生を生きていこう」と歌いながら「この先で何が僕を待っているのか知りたい」とも歌ってしまう主人公はいかにもキンクス的。

「君は勝つことができない」と執拗なまでに繰り返すビート・ナンバー。レイとデイヴがヴォーカルをシェアしている。唸りを上げるリード・ギターも目立つが、背後で暴れまわるニッキー・ホプキンスらしいピアノも効果的。シンプルだが、パワフルな曲のひとつ。