ミニ・レビュー
64年にリリースされたファースト・アルバムにシングル曲や未発表曲など12曲を追加収録したリマスター編集盤。ロック史上最強の名曲(7)をはじめキンキー・サウンドの核の部分をまるごと反芻できる。当時の彼らの勢いが痛いほど刺戟的に伝わって来る全26曲。
ガイドコメント
今年で結成34年目を迎えた、ブリティッシュ・ロック・バンド、キンクス。彼らの記念すべきファースト・アルバムがリマスターで蘇る。「ユー・リアリー・ガット・ミー」が聴ける名作。
収録曲
01BEAUTIUFL DELILAH
チャック・ベリーの曲をデイヴ・デイヴィスのヴォーカルでカヴァー。通好みのシブい選曲がキンクスのマニア度が高かったことを証明している。ギター・ソロも含めて、当時の英国産ビート・グループの典型といってもよさそうな演奏が聴ける秀逸なヴァージョン。
02SO MISTIFYINEG
レイ・デイヴィスが書いたオリジナル曲。カントリー調のイントロが珍しいが、曲そのものもR&Bにカントリー風味を加えた独創的なポップ・ソング。1966年にはスウェーデンのモッズ・バンド、ヘップスターズ(アバのベニーが在籍)によるカヴァーが北欧でヒットした。
03JUST CAN'T GO TO SLEEP
レイ・ディヴィスのメロディ・メイカーとしての才能が発揮されたオリジナル曲。「お前がいなきゃ眠れない」という熱烈なラブ・ソングだが、この単純なテーマをこれだけメロディックに展開できるのはレイならでは。極東のGSにとっても手本になりそうな曲のひとつ。
04LONG TALL SHORTY
「マーシー・マーシー」などのヒットでおなじみの米国のR&B歌手ドン・コヴェイの曲をデイヴ・デイヴィスのヴォーカルでカヴァー。若い頃からマニアックなキンクスらしいシブい選曲。デイヴのヴォーカルもパワフルだが、レイのマウスハープも好サポート。
05I TOOK MY BABY HOME
1stシングル「ロング・トール・サリー」のB面に収録されたレイ・デイヴィスのオリジナル曲。カヴァーのA面よりもこちらのほうが出来はいい。「娼婦みたいな愛撫」が得意な彼女にリードされて舞い上がるMタイプの童貞君を描いた歌詞は、当時としてはかなり過激。
06I'M A LOVER NOT A FIGHTER
ルイジアナ四天王のひとりであるレイジー・レスターのレパートリーをデイヴ・デイヴィスのヴォーカルでカヴァー。カントリー調の乾いたブルース曲をアップ・テンポでリメイク。ギター・ソロもイカしてるが、レイのハーモニーとハンド・クラッピングも効果的。
07YOU REALLY GOT ME
さまざまな伝説を持つ3rdシングル曲。ファズ・ギター+3コード+ユー&ミー・ソングという画期的な公式を発明した初期キンキー・サウンドの最初の1曲。その後、無数のカヴァーを生み、ロック・スタンダードと化した名曲中の名曲。全英1位、全米7位のヒットを記録。
08CADILLAC
ボ・ディドリーの名曲をカヴァー。本家を真似たイントロのギターもシブい。ジャングル・ビートに乗って軽快に疾走する曲。ヴォーカルでも健闘しているレイ・デイヴィスのマウスハープが大活躍。当時のキンクスのライヴで聴いてみたかったと思わせる曲のひとつ。
09BALD HEADED WOMAN
プロデューサーのシェル・タルミー作とクレジットされていたが、実際には米国の黒人たちの間で伝承されていた有名なワーク・ソング。ジミー・ペイジが12弦ギター、ジョン・ロードがオルガンを弾いている。タルミーが手掛けていたザ・フーのヴァージョンもある。
10REVENGE
レイ・デイヴィスとラリー・ペイジの共作によるインスト曲。初期キンキー・サウンドの原型的なサウンドが聴ける最初期のオリジナル。のちにTV番組『Ready Steady Go!』のテーマ曲として起用された。ジミー・ペイジのソロ曲「She Just Satisfies」の原曲でもある。
11TOO MUCH MONKEY BUSINESS
12I'VE BEEN DRIVING ON BALD MOUNTAIN
シェル・タルミー作とクレジットされていたが、実は米国のトラディショナル・ソング。キンクスに似合う曲ではないが、デイヴ・デイヴィスのヴォーカルは健闘している。どうやら「ハゲ」にこだわる習性がタルミーにはあるようで、この曲にも「ハゲ山」が登場する。
13STOP YOUR SOBBING
レイ・デイヴィス作で、キャッチーなメロディとポップなサウンドによる名曲。男の子が女の子に「泣くのはおよし」と語りかける愛らしい内容で、1979年にプリテンダーズがカヴァーし、ヒットさせている。
14GOT LOVE IF YOU WANT IT
スリム・ハーポのブルース曲をレイ・デイヴィスのヴォーカルとマウスハープでカヴァー。序盤はオリジナルにほぼ忠実だが、終盤のハード・ロッキンな解釈は独創的。やはりこの曲を演奏していたザ・フーも驚く嵐のような演奏が聴ける。一聴の価値がある。
15LONG TALL SALLY
16YOU STILL WANT ME
17YOU DO SOMETHING TO ME
18IT'S ALRIGHT
19ALL DAY AND ALL OF THE NIGHT
20I GOTTA MOVE
21LOUIE LOUIE
22I GOTTA GO NOW
23THINGS ARE GETTING BETTER
24I'VE GOT THAT FEELING
25TOO MUCH MONKEY BUSINESS
26I DON'T NEED YOU ANY MORE