ミニ・レビュー
91年に英国でCD用に編集された2枚組ベスト盤。76年に解散するまでの彼らの代表曲が網羅された内容で、収録時間の問題上、数曲のラストの部分が数分カットされているが、選曲はなかなかだし、詳細な英文解説(日本語訳つき)も実に読みごたえがある。★
ガイドコメント
ハード・ロックといえばディープ・パープルで、影響を受けたミュージシャンも数知れず。今作は91年に英国で編集されたアンソロジーで第1期〜第4期までの代表曲を網羅。ブックレットも秀逸。
収録曲
[Disc 1]
01HUSH
02MANDRAKE ROOT
03THE SHIELD
04WRING THAT NECK
05THE BIRD HAS FLOWN
06BLOODSUCKER
シンプルながらもグルーヴィなリフと、タイトなリズム・セクションのバランスが絶妙なヘヴィ・ロック・チューン。中間部のキレよいブレイクとギター&オルガンの掛け合いによるソロ・パートの絡みもまったり楽しめる。
07SPEED KING
ディープ・パープルがサイケ・ロックから本格ハード・ロック路線へと転進したアルバム『イン・ロック』のオープニング・トラック。曲名通りの疾走感と激しいシャウト・ヴォーカル、スリリングな演奏が一体となった名曲だ。
08BLACK NIGHT
ディープ・パープルがハード・ロック時代の幕開けを高らかに宣言した一曲。一緒に口ずさめるほどキャッチーなギター・リフが印象的で、ライヴでは大合唱に。アーミングを駆使したギター・プレイも見事。
09CHILD IN TIME
静と動の対比がドラマティックに際立つ、ディープ・パープルの初期代表曲のひとつ。10分を越える大作ナンバーながら、劇的に盛り上がっていくハードな展開や深い歌詞に聴き入るうちに全編はあっという間に過ぎ去っていくだろう。
10FIREBALL
ディープ・パープルの数あるハード・ロック・チューンの中でも随一のアグレッションとスピード感を誇る名曲。3分半に満たないものの、スリリングなオルガン・ソロからフェード・アウトへと至るドラマ性も見事だ。
11STRANGE KIND OF WOMAN
12NO ONE CAME
ハード&ヘヴィなスタイルを持ちながらも、いかにもジャム・セッションの延長線上から生まれたといった、わりと淡々としたムード漂うナンバー。エンディング・パートではテープの逆回転がお遊び的に使われている。
13HIGHWAY STAR
ハード・ロックの教科書とも評される名曲。疾走感のある曲調、ハイトーンを活かしたヴォーカル、アグレッシヴなオルガン・ソロとクラシカルな構築美を誇るギター・ソロ。すべてが完璧に調和した見事な完成度。
[Disc 2]
01SMOKE ON THE WATER
02PICTURES OF HOME
激しいドラミングに導かれてスタートするメロディアスなハード・ロック・チューン。ヘヴィに鳴り響く歪んだハモンド・オルガン、中間のベース・ソロに加え、歌心に満ちたイアン・ギランの歌唱が実に印象的だ。
03WOMAN FROM TOKYO
キャッチーなノリを持つメロディアスなナンバー。曲名から72年の来日公演の思い出を歌ったとも言われるが、実はこの曲が書かれたのは初来日よりも前だったとか。“東京”を“トケイオー”と発音するのが妙にファンキー?
04SMOOTH DANCER
05SAIL AWAY
ヘヴィなビートとエモーショナルなグルーヴが特徴的な、ヴォーカル中心の隠れた名曲。タイトなリズムの合間に挿入されるファンキーなベース・フレーズ、エスニックなムードを発散するシンセサイザーの使い方も面白い。
06LAY DOWN, STAY DOWN
パワフルなリフ・ワークとダイナミックなリズム・ワークの組み合わせが絶妙なハード・ロック・チューン。ヘヴィ・ギターとピアノの相性も抜群で、ツイン・ヴォーカル編成のダイナミズムも余すところなく発揮されている。
07BURN
08STORMBRINGER
強力なリフを持ったハード・ロック・チューン。ヘヴィでグルーヴィな曲調とエモーショナルなヴォーカルのバランスが絶妙で、スライド・ギターによるアラビックなソロ・パートも、シンプルながら実に印象的だ。
09HOLD ON
第3期ディープ・パープルの、非ハード・ロック・サイドの魅力が堪能できるファンキーなナンバー。デヴィッド・カヴァーデイルとグレン・ヒューズという2つの異なったヴォーカルの個性のぶつかり合いも素晴らしい。
10THE GYPSY
デヴィッド・カヴァーデイルとグレン・ヒューズのツイン・ヴォーカルが映える『嵐の使者』収録の隠れた名曲。タイトなリズムの上で幻想的に舞う、リッチー・ブラックモアの抒情味溢れるギター・プレイも絶品だ。
11MISTREATED
12GETTIN' TIGHTER
13LOVE CHILD
ヘヴィなギター・リフを持った、第4期ディープ・パープル随一のヘヴィさを誇るハード・ロック・ナンバー。隙間を活かしたシンプルなアレンジを支えるタイトなドラミングが絶品で、シンセサイザー・ソロのミス・マッチ感も面白い。
14YOU KEEP ON MOVING