ガイドコメント
ジャニスの衝撃的な死の直後に発表された、最後のスタジオ・アルバム。ジャニスのサウンドの集大成ともいえる、バラエティに富んだ、完成度の高いアルバムとして高く評価されている。
収録曲
01MOVE OVER
ジャニスの代名詞のような名曲。シンプルなサウンドでもすべてを表現できる理想のバンドを得て、さらに自分の歌声を自由自在にコントロールする方法を獲得したジャニスが見事なヴォーカルを披露している。その後、この曲は多くのカヴァーを生んだ。
02CRY BABY
03A WOMAN LEFT LONELY
ダン・ペンとスプーナー・オールダムが書いた名曲。過不足のないバンドの演奏をバックに、メロディと歌詞を噛みしめるように歌うジャニス。光り輝く名曲ばかりのアルバム『パール』の中では地味な印象の1曲だが、実は感動的な名唱のひとつと言われている。
04HALF MOON
のちにオーリアンズを結成するジョン・ホールが書いた名曲。複雑な編曲でも軽やかにプレイできる凄腕バンドの細心で大胆な演奏に乗って、ジャニスもこの難曲を鮮やかに歌いこなしている。荒馬を乗りこなすカウボーイのようにジャニスが歌う。
05BURIED ALIVE IN THE BLUES
06MY BABY
ゴスペル調のR&Bを書かせたら世界一のジェリー・ラゴヴォイの曲。まるで自分のために書かれた曲のようにジャニスは歌っている。これこそが自分の曲だと感じたのか、彼女は歌詞の一節に“Janis”を加えている。“My baby”のシャウトは今でも新鮮に響く。
07ME AND BOBBY MCGEE
一時的には恋人でもあったクリス・クリストファーソンが書いた名曲。洗練されたアコースティック・サウンドをバックに、メロディと歌詞をじっくりと味わうかのようにジャニスが歌う。後半のスキャットも見事。彼女の死後、全米チャートで2週連続1位のヒットを記録した。
08MERCEDES BENZ
ビート詩人マイケル・マクルーアとの共作曲。「社会的にも政治的にも非常に重要な歌を歌うわよ」というジャニスのMCから始まるア・カペラの曲。メルセデスベンツとカラーテレビと夜の街を買って、と神様にお願いするジャニス流ゴスペル・ソング。
09TRUST ME
アコースティック・ギターで録音にも参加しているボビー・ウォマックの名曲。簡素だが滋味のあるサウンドに乗って、ジャニスが気持ちよさそうに歌っている。この曲をジャニスのベストに上げる人は少ないだろうが、彼女の名唱のひとつと言えるだろう。
10GET IT WHILE YOU CAN
ジャニス御用達のソングライター、ジェリー・ラゴヴォイの曲。ジャニスがメロディと歌詞を慈しむように歌い始めるゴスペル調のR&B。彼女ならではのフェイクが縦横無尽に暴れまわる終盤のクライマックスも圧巻。オリジナル・アルバムではラストを飾る1曲。
11TELL MAMA
12LITTLE GIRL BLUE
13TRY (JUST A LITTLE BIT HARDER)
14CRY BABY