ガイドコメント
デビュー作から1年半後に登場した、大ヒット・セカンド・アルバム。魂に深く入り込んでくるようなポップなサウンドが素晴らしく、トリッキーやハウィーBとのコラボレートも聴き逃せない。
収録曲
01ARMY OF ME
タイトルから連想される通り、ハードかつヘヴィなナンバーで、終始耳に絡みつくようなうねりのあるベース・ラインが特徴的。ビースティ・ボーイズのマイク・Dやスカンク・アナンシーによる別バージョンとも聴き比べてみたい。
02HYPERBALLAD
オフィシャル・サイトのファン投票でも上位を獲得した名曲。序盤の控えめなアレンジから終盤のドラマチックな展開へ移行する瞬間の、4つ打ちキックにメロディが同調していくさまはまさにビョーク・アンセムといえる美しさ。
03THE MODERN THINGS
アルバム『ポスト』プロデューサー陣の一人、808stateのグラハム・マッセイのお家芸とも言えるアシッドなブレイクビーツが堪能できる一曲。終盤のレコードの針が飛んだような演出も遊び心満載だ。
04IT'S OH SO QUIET
オリジナルは、ハリウッド女優のベティ・ハットンが1948年に歌いヒットさせた「ブロウ・ア・ヒューズ」で、タイトルを変えてカヴァー。ハリウッド作品を想わせる、古き良きミュージカル・アレンジにビョークのシャウトがぶつかる異色の一曲。
05ENJOY
トリップ・ホップの大物ラッパー、トリッキーが手がけた作品。アシッド・ジャズやテクノ、ハウスの要素を採り込んだダウン・テンポのブレイクビーツを基調としたサウンドが、ビョークとうまくハマったヒップホップ・ナンバー。
06YOU'VE BEEN FURTING AGAIN
静に始まり静に終わる、しっとりと聴かせるストリングスを中心としたクラシック調のナンバー。シンプルかつドラマティックなアレンジが、2分半という短い間にビョークの“唄”の魅力を存分に味あわせてくれる。
07ISOBEL
どことなく北欧的な雰囲気を醸し出しているナンバー。民族音楽的なビートとどこか遠くから聴こえる口笛、そして澄みやかなストリングスが、イゾベルという一人の少女を幻想的に浮かび上がらせることに成功している。
08POSSIBLY MAYBE
深いリバーヴが霧雨の日を思わせる、このどこかメロウでメランコリックなナンバーは、ビョーク本人もかなりの難産だったようだ。しかし、その甲斐あってか完成度の高いスロウ・ビートな佳曲になっている。
09I MISS YOU
U2のプロデュースを手がけたハワード・バーンシュタインの得意とするトリップ・ホップ・ナンバー。「あなたに会いたい」と歌っているが、それは特定の誰かではなく「まだ見ぬあなたに会いたい」という言葉遊びを含んでいる。
10COVER ME
ハープの音色とビョークの歌声との相性が抜群。雷鳴や鳥の鳴き声のようなバック・トラックも手伝って、あたかもビョーク自身が神話の語り手であり、同時に登場人物であるかのように感じさせられる一曲。
11HEADPHONES
アフリカン・ミュージックのボンゴにも似たこもったビートやその上に乗るポエトリー・リーディングのようなビョークの歌唱はどこか呪術的だ。エコーがかかったコーラスも怪しく、異国に連れて行かれるような感覚を起こさせる。
12I GO HUMBLE
LFOのマーク・ハンブルが手がけた、シンプルな発信音と強固なベースから構成される、“ビョーク・ミーツ・ブリープ・テクノ”といった趣きの一曲。時代を問わず、フロアで流しても古さを感じさせない佳曲だ。