ガイドコメント
90年代にクラプトンが果たしためざましい成功の原点でもある80年代の演奏をデジタル・リマスタリング化。ライ・クーダーら最高峰ギタリストが参加した聴きごたえたっぷりの名盤だ。
収録曲
01EVERYBODY OUGHTA MAKE A CHANGE
スリーピー・ジョン・エステスのブルース・クラシックをカヴァー。米国南部のサウンドを代表するような達人リズム・セクションの演奏に乗って、クラプトンとライ・クーダーのスライド・ギターが絡み合う。もはや何も考える必要がないくらいに心地よいサウンド。
02THE SHAPE YOU'RE IN
ザ・バンドの名曲のアンサー・ソングのようなタイトルを冠したオリジナル曲。ミディアム・アップのロカビリー・ビートに乗って、クラプトンが成熟した歌声を披露する。バッキング・コーラスも担当したアルバート・リーとのホットなギター・バトルも楽しめる。
03AIN'T GOING DOWN
ボブ・ディランの「見張り塔からずっと」のジミ・ヘンドリックス・ヴァージョンを思わせる、クラプトンのオリジナル曲。ドナルド“ダック”ダンとロジャー・ホウキンスが叩き出す強靭なビートに乗って、クラプトンのギター・ソロがジミヘンばりに高く舞い上がる。
04I'VE GOT ROCKN' ROLL HEART
トロイ・シールズのカントリー・バラード。カントリーを毛嫌いするブルース派のファンには評判の悪い曲だが、クラプトンのヴォーカルの魅力を味わえる曲のひとつ。夢想的なまでにカントリー調のジェントルなサウンドが楽しい。全米18位のヒットを記録。
05MAN OVERBOARD
レコード会社から要求されたシングル候補の1曲としてクラプトンが書いたキャッチーなフックを持つポップ・ソング。曲としての魅力には乏しいかもしれないが、クラプトンとライ・クーダーが奏でるスライド・ギターの音色をたっぷりと楽しめるところは魅力的。
06PRETTY GIRL
アンプラグドなサウンドで綴られるロマンティックなバラード。いわゆる「ワンダフル・トゥナイト」路線の1曲だが、ひたすら素朴な歌と演奏がチャーミング。アコギによるギター・ソロも美しい。シンプルな歌詞も良い。シングルに選ばれなかったのが不思議な佳作。
07MAN IN LOVE
ミディアム・テンポのシャッフル・ビートに乗って、クラプトンのヴォーカルとスライド・ギターが披露される陽気なカントリー・ブルース。ライ・クーダーのスライド・ギターとの絡みも楽しめる。できれば5〜6分は聴いていたい曲だが、残念ながら3分未満のシングル仕様。
08CROSSCUT SAW
アルバート・キングのレパートリーとして知られる名曲のカヴァー。クラプトンも本家キングばりの泣かせるチョーキング・プレイを多用している。ギターはもちろん、ヴォーカルも自信と余裕を感じさせる名演。本家版にも勝るとも劣らないクラプトン・ヴァージョン。
09SLOW DOWN LINDA
ミディアム・アップのロック・ビートに乗って、クラプトンが楽しそうに歌う陽気なパブ・ソング。シング・ア・ロング調の曲で、アルバート・リーのハーモニーや女声コーラスも好サポート。クラプトンの短いギター・ソロも楽しめる。シングル候補だった曲のひとつ。
10CRAZY COUNTRY HOP
ジョニー・オーティスの名曲をオリジナルにほぼ忠実なアレンジでカヴァー。ここでのクラプトンはヴォーカルとリズム・ギターに集中している。コーラス陣との絡みも楽しいパーティ・ソング。こういった曲をアルバムの最後に収録するセンスもクラプトンらしい。