ミニ・レビュー
アルバム・タイトル通りに98年から2000年までにリリースされた4枚のアルバムからセレクトされたベスト作品。より洗練さが増した楽曲を作り出すようになった歴史の断片を瞬間的に振り返ることができる。彼らのスタイルの幅広さも実感できる一枚だ。
ガイドコメント
3タイトル同時発売となるラルク アン シエルの究極のベスト盤。本作は、「HEAVEN'S DRIVE」等の98〜2000年にかけてのシングル・ヒットを中心に、ライヴの人気曲も収録。
収録曲
01DIVE TO BLUE
hydeのハイトーン・ヴォイスが美しく研ぎ澄まされ、その歌声は青空を颯爽と飛ぶ鳥のように軽やか。歌声もさることながら、この曲のバランスをとっているのはクリアな音色を響かせるギター。沈んだ気持ちをも開放し、ハイな気分にさせてくれる。
02HONEY
きめ細かなビートに乗せて、パワー・コードを効かしたギターがぐいぐい攻める。hydeの透明感のある裏声にウットリし、身体が宙に浮かび上がるかのような錯覚すら招く。勢いのある爽快なロック・チューン。
03浸食〜lose control〜
不穏でダークな匂いがプンプン。ラルクの悪魔的な側面がうかがえる、鋭角ヘヴィ・サウンドが炸裂。緩急の効いた展開に脳は酔わされ、間奏の転調ではシビれる。楽器陣の荒れ狂うようなユニゾンも鳥肌もの。
04花葬
自堕落さたっぷりに、そして妖艶に歌うhydeもこの曲を淡く彩ってはいるが、冴えわたるのはkenのギター。悲鳴をあげるかのような儚い音を響かせ、泣きのメロを作り出し、聴く者を幻想的な世界にさらに引きずり込む。
05snow drop
雪の向こうにぼんやり見える春の情景に自分たちを重ね、未来への希望が膨らみ、気分は高揚する。何とも不思議な幸福感が漂う曲は、tetsuならではの作風。壮大なスケールとは裏腹に可愛らしい面も持ち合わせる。
06forbidden lover
壮大なスケールをもって歌われるのは禁じられた愛。歌詞は神の啓示を思わせるほどに崇高で、サウンドは濃厚な霧に包まれたような空間を作り出し、現実感を薄っぺらくする。また決して誇張した表現に感じさせないのも彼らならでは。
07HEAVEN'S DRIVE
脳裏に快楽という2文字を思い描かせる歌詞、そして自然と身体にリズムを浸透させ、神経の隅々をナイフで斬りつけたような衝撃を与えるギター音。どろどろとした欲望が膨張し、徐々に蝕まれていく人間の心が鋭く表現されている。
08Pieces
やわらかでファンタジックなメロディ、優しく包み込むようなヴォーカル。これでもかというほどのストリングスに美麗コーラスも寄り添い、非の打ちどころのないバラード。間奏のギターが異彩を発していて面白い。
09trick
10Driver's High
ドラッグをバキっとキメた男がオープン・カーで、ハイウェイを後先考えず爆走してるような痛快ギター・ポップ。陽気な玉砕ドライバーに扮したhydeの声は弾むように明るく、応えるように演奏も迷いナシの軽い足取り。
11LOVE FLIES
メタリックなテイスト、抽象的な世界観には英詞が綺麗にハマる。加えてhydeの饒舌さがあれば鬼に金棒。ザラリとした音のギターは、クールにスペーシーな世界を演出する。サビでのメリハリの効いたドラムが印象的。
12NEO UNIVERSE
打ち込み、電子音の多用で構築されたファンタジックな音世界の中を、ヴォーカルはひたすら高音域で突き進む。綺麗なメロディを作るための緻密なアレンジ・ワークが光る。ラルクの力量の深さが再確認できる一曲。
13finale
『リング0〜バースデイ〜』の主題歌。映画の怖さに負けず劣らずの雰囲気を醸し出す、ホラー・バラード。不穏な空気たっぷりに憂い嘆くヴォーカル、弦楽器の軋むような音、“ヒィーーン”って音、どれも不気味……。
14STAY AWAY
イントロのギターが「ジャーン!」と響き、頭のギアがONに入る。のっけから滑り込んでくるベースが、ラストまで小気味良く駆け抜ける。突き抜けたい気持ちを後押ししてくれるような、本能を刺激するナンバー。
15get out from the shell (asian version)