ガイドコメント
CX系『めざましどようび』やシティボーイズ公演のテーマ曲など、収録曲のほとんどがタイアップ付きという超強力な8曲入りアルバム。夏から秋にふさわしいインスト作品の決定盤と言える。
収録曲
01燕返し〜我ココニ侍フ〜
3rdアルバム『スズ虫』の冒頭を飾るナンバー。当時流行ったヴォコーダーを使ったヒイズミマサユ機のシャウト気味スキャットではじまるストレートなラテン・ジャズで、目まぐるしい曲展開の多い初期の作品群に比べ、実に良い形で洗練されたサウンドを特徴とする。もちろん、巧みなアレンジやキャッチーこのうえないメロディは健在。
02SAMBA DE 恋して
ABC放送『百万馬力〜千鳥じゃ〜』のエンディング・テーマにもなった王道的ジャズ・サンバ。タイトルどおり、軽快なサンバ・リズムに愛らしいキュートなメロディが乗ったリラクシングな曲調で、力まずに堪能できるナンバー。Inter FMでは邦楽初のリコメンド曲としてヘヴィ・ローテーションされ、人気を博した。
03wonderful saturday
心地良いシャッフル・リズムが印象的なライト・ジャズ・ロックで、一日の疲れを癒してくれるようなやさしいナンバー。初期に比べ各パートのソロが若干長くなっていて、本曲では主にピアノ・ソロを堪能できる。「WONDERFUL DAYS」に続き、フジテレビ系『めざましどようび』のオープニング・テーマ曲となった。
04パパのマーチ
サーカスや遊園地、1960年代アメリカのカートゥーンなどを彷佛とさせる実ににぎやかなナンバー。ヒイズミマサユ機のピアノが大フィーチャーされ、随所で奔放なソロを聴かせてくれる。相変わらず多様な音楽的要素を注ぎ込んでいるが、曲全体に物語のような一貫性があって5人が着実に成長を遂げていることがうかがい知れる。
05TASOGARE
初期PE'Zサウンドのアグレッシヴさを彷佛とさせる“ごった煮”ナンバー。パワフルだが決してやり過ぎることのない、各メンバーの節操ある演奏が初期のそれと大きく異なるところ。フロントが白玉系のフレーズをゆったりと奏でるバックで、Nirehara Masahiroが繰り広げる極速ランニング・ベースに注目。
06青と緑〜8月のある朝〜
ラテン・リズムを基調とした穏やかなミディアム・ナンバー。商業的成功も手伝って大きく成長した彼らの余裕を感じさせるような落ち着きとシンプルさが魅力。人気曲「DRY!DRY!DRY!」同様、“ドレミファソラシド”を用いたキャッチーなテーマほか、ベースとエレピがそれぞれ上下にスケールを弾くイントロにも注目。
07Where will we play next?
Kadota“JAW”Kousukeの色っぽいソプラノ・サックスとワウ・エフェクトのかかったシンセ・サウンドが印象的でスリリングなナンバー。ベース、ピアノ、サックスおのおのの安定したソロも聴きどころだが、なかでも航のドラマーとしての成長がうかがえる必要最小限の洗練されたフレージングは特筆に値する。
08情熱の行方
3rdアルバム『スズ虫』のラストをドラマティックに飾る、まさに“情熱的”なラテン・ナンバー。以降、4、5枚目のアルバムのラストにアレンジ違いが収録されるナンバーで、各ヴァージョンの違いにも注目したい。PE'Zが音楽を担当したシティ・ボーイズの舞台『だめな人の前をメザシを持って移動中』のテーマ曲にもなった。