ガイドコメント
出荷停止となっていた2ndアルバムが新装再発。権利の問題から「大地讃頌」が外され、代わりにジャズの名曲「チュニジアの夜」を収録。「アンダルシア」などタイアップ曲満載の話題盤だ。
収録曲
01花咲ク DON BLA GO! (Album Ver.)
2ndミニ・アルバムのタイトル曲の別ヴァージョン。“ドンシャリ”気味のロー・ファイなイントロが加えられたほかは、ミックス違いといった仕上がり。「Hale no sola sita」の続編のような趣の軽快なナンバーで、PE'Zらしいキャッチーなメロディが一際光る。まさに“侍ジャズ”といった好ナンバーだ。
02タンゴ3兄弟
楽しげなタイトルを裏切るような重々しいリズムを特徴とする厳かな趣のナンバー。タンゴとは言うものの、これまでのPE'Zにはないほどのヘヴィさで、彼らが音楽性の幅を広げながら確実に進化していることを印象付ける。華やかであか抜けた楽曲が並ぶアルバムにアクセントを与えているという点でも意味のある作品だ。
03WONDERFUL DAYS
PE'Zがジャズを基調としながらも商業的に成功した理由に、ジャズ的こ難しさを避け、あくまでポップでキャッチーなメロディを重視していることが挙げられる。本曲はそんな彼らを象徴するような肩の力の抜けた親しみやすいジャズ・サンバ調のナンバー。フジテレビ系『めざましどようび』のオープニング・テーマ曲になった。
04She's a rainbow
ローリング・ストーンズの1967年の名曲のカヴァー。TV-CMなどでも知られる有名なピアノ・フレーズはスライド・ピアノで奏でられ、PE'Zならではの多彩なリズム・チェンジでドラマティックに展開する。ゲスト参加のCAMERAMANSの永田敬士がファンキーなワウ・ギターや壮大なソロなどで大活躍している。
05SUNNY & CLOUDY
まったく異なる曲調の2曲をコンパイルした8分半以上に及ぶ大作。アメリカのドタバタ・アニメのようなにぎやかさや可愛らしさを持つ前半が“SUNNY”で、コンテンポラリーで怪し気な雰囲気の後半が“CLOUDY”ということだろう。時にはキュートに、時にはアグレッシヴに変化する航のパーカッシヴなドラムにも注目したい。
06アンダルシア-Andalucia-
2ndマキシ・シングル「DRY!DRY!DRY!」にも収録されたライヴで人気の高いナンバー。フラメンコを連想させるタイトルとは裏腹にラテンやアフロ・キューバンに近いリズムだが、キャッチーな旋律とメリハリのある展開といった PE'Zらしさをきっちりと抑えている。役所広司主演の映画『ドッペルゲンガー』の主題曲。
07T.K.O〜それ ちょっと早くない?〜
それまでのPE'Zにはなかったグルーヴィなエレクトロ・ジャズ・チューンで、フュージョンやファンクを内包したアグレッシヴさが魅力。プログレばりのイントロをはじめ、随所で粋なフレーズを弾くヒイズミマサユ機ほか、フロントの二人も普段より力の入ったソロを聴かせる。東レ“TOREX”のTV-CMソングとなった。
08かもめが翔んだ日
2ndミニ・アルバム『花咲ク DON BLA GO!』にも収録されている渡辺真知子のカヴァー。往年のヒット曲ならではの郷愁感を誘う歌謡曲調メロディは、PE'Zサウンドでその輝きを増す。楽曲に溶け込んでいる上妻宏光の津軽三味線もKadota“JAW”Kousukeのソプラノ・サックスも実に印象深い。
09C止まり〜SADだけどね〜
タイトルどおり、どこか物悲しさを臭わせる落ち着いた雰囲気のナンバー。ボサ・ノヴァと4ビートを基調にした心地いいグルーヴをバックにKadota“JAW”Kousukeが伸びやかなサックス・ソロを展開。サビ直前のヒイズミマサユ機のチック・コリアのようなエレピがスパイスとなって楽曲を引き締めている。
10DRY!DRY?DRY! (Album Ver.)
2ndマキシ・シングルのタイトルとなったナンバーのアルバム・ヴァージョン。冒頭にドラムのフィルが追加された以外、アレンジは大きく変わっていないが、各パートが新たに録音をし直しているので別テイクといった仕上がり。「DRY!」というかけ声と彼らのトレード・マークであるキャッチーな2管ユニゾン・フレーズが本曲の魅力。
11BIG EAR〜手痛い洗礼そしてVへ〜
4つ打ちのテクノ・ビートを大フィーチャーした“タテノリ”ジャズ・ロック・チューン。メロディや曲の展開がPE'Zらしさを踏襲しているためか、違和感なく聴こえる。航の高いテクニックとフレキシビリティによる、生ドラムと打ち込みビートの絡みも見事。フジテレビ系スポーツ番組『FOOTBALL CX』で使用された。
12A Night in Tunisia
巨人ディジー・ガレスピーの代表的ジャズ・スタンダード・ナンバー。これまでに数多くのアーティストが多種多様な趣向でカヴァーをしてきたが、このPE'Zならではのモダンかつ斬新なアレンジは極めて個性的と言える。作曲者・佐藤眞の意向に沿って発売中止となった初回盤収録の「大地讃頌」の代わりに収録された。