ガイドコメント
1976年にアイルランドで結成されたU2の記念すべきデビュー・アルバム。ソングライティングのセンスの良さと、スティーヴ・リリィホワイトのプロデュースで初々しいギター・ポップが聴ける1枚。
収録曲
01アイ・ウィル・フォロー
02トゥワイライト
純真な少年の視点で描かれた暗闇、つまり大人たちの世界。屈折した世界観をエコーやディレイ層に覆われたミドル・テンポ調のサウンドともに、変化と起伏に富んだリズムで構築してゆく。サビで増すスピード感がより一層悲愴感を引き立てる。
03アン・キャット・ダブ
04イントゥ・ザ・ハート
一音一音をエコーの効いたフレーズで奏でてゆくエッジのギター。そこから生まれるのは極上の揺らぎ。子ども頃には戻れない、と思春期への訣別をテーマにした1曲で、中盤からテンポをぐっと上げて、激しくロックする。
05アウト・オブ・コントロール
生きること、死ぬことを選べないことが人生なんだ、と清々しいまでの若さにまかせて聴かせる、ストレートなロック・ナンバー。とはいえ、ボノのヴォーカルやエッジのギターの空間的な広がりは楽曲全体を包み込み、U2らしい奥行きあるものに。
06ストーリーズ・フォー・ボーイズ
激しいドラミングから、音の隙間を突くようなシャープなギター・リフで幕を開ける、アップ・テンポのロック・チューン。ベースもフレットをところ狭しと動き回り、ボトムをささえながら硬質な存在感を放っている。
07ジ・オーシャン
変則的なインプロ感覚にあふれたギターとピアノ、フロア・タムの淡々としたビートで構築された2分足らずのナンバー。虚無感を讃えたような静かな1曲で、1stアルバム『ボーイ』の中でも特別な存在感を持つ1曲。
08ア・デイ・ウィズアウト・ミー
09アナザー・タイム、アナザー・プレイス
現実逃避、少年の苦悩をテーマに描いた1曲。固く太いリズムと、ハーモニクスを繋いでゆくギター・フレーズが印象的。熱いビート・ナンバーでも、どこかひんやりとした空気を醸し出しているのがU2サウンド。
10ジ・エレクトリック・カンパニー
クリアなディレイ・ギターの激しいリフとベース・ラインの応酬に、ボノのうわずり気味のヴォーカルもアグレッシヴさを増して攻勢。自由の象徴である、“少年”を虚勢する社会を描いたロック・チューン。
11シャドウズ・アンド・トール・トゥリーズ
1stアルバム『ボーイ』のラスト・ナンバー。同アルバムの前曲「ジ・エレクトリック・カンパニー」から間髪入れずにオープニングへとなだれ込み、アコースティックな温かみと比較的穏やかな曲調でラストを締めくくる。