ミニ・レビュー
2004年秋、2枚のシングルが全米チャート1、2位独占するという快挙を成し遂げ、今やアメリカで最もホットなバンドとなった彼らの4作目。歪み、つぶれたサウンド、そしてコナー・オバーストの震える歌声はまるでアメリカ社会が抱く葛藤が表われたようでもある。
ガイドコメント
全米2位のシングル「Take It Easy(Love Nothing)」を含むアルバム。フォーキィな傑作も発表した彼が、本作ではバンド色の強いデジタル・ロックを全面展開している。
収録曲
[Disc 1]
01TIME CODE
アルバム『デジタル・アッシュ・イン〜』のプロローグ。静寂の中に響くさまざまな音のサンプリングに始まり、次いでエレクトロニカ調の鍵盤音が重ねられる。終盤では浮遊したヴォーカルやディレイが効いたドラムが響き、アグレッシヴな様相を呈す。
02GOLD MINE GUTTED
ディレイがかかったドラミングと美しくメランコリックなメロディを刻む鍵盤音がシンクロする、叙情的なナンバー。青春の切ない思い出を吐露し、その心象風景を歌うヴォーカルには情感があふれていて、胸に染み入る。
03ARC OF TIME (TIME CODE)
変則していくビートにカントリー調のギター音を重ねた、ブライト・アイズらしいアイディア豊かなアレンジが楽しめる。男女の明るいヴォーカルが心地良く、中盤からハンドクラップが加わってより華やかなムードに。
04DOWN IN A RABBIT HOLE
マイナー・コード中心のメランコリックなメロディを歌う、震えるようなヴォーカルが強いインパクトを放つ。ローファイなテイストを持つビートと柔らかい鍵盤音の旋律、そして哀しいストリングスの調和が実に見事なナンバー。
05TAKE IT EASY (LOVE NOTHING)
全米シングル・チャート2位を獲得したナンバー。友人関係だった男女が一線を超えたときの心情を、男性側の目線で綴っている。エフェクトされた明るいコナーのヴォーカルと、軽快なシンセ音が絶妙に絡み合う。
06HIT THE SWITCH
ヤー・ヤー・ヤーズのニック・ジンナーが参加。幾層にも重なったギターや鍵盤楽器の音色の美しさが印象的だ。生きていることの意味を自問自答する歌詞を、甘美なメロディに乗せて歌う切ないヴォーカルが魅力的だ。
07I BELIEVE IN SYMMETRY
“ここから次の者へ継いでいこう”という、希望に満ちたメッセージを綴った明るいナンバー。メロディの美しさに胸が熱くなる。ベースやさまざまな鍵盤楽器を用いた、多彩で壮大なサウンドによる終盤の展開は圧巻だ。
08DEVIL IN THE DETAILS
音数は少ないがダイナミックさを備えた、空間を生かしたサウンドが特徴的。絶唱するようなコナーのヴォーカルの魅力が強く伝わってくる。静かなビートと甘美なピアノ、ギターの旋律が切ないムードを醸し出している。
09SHIP IN A BOTTLE
ワイン・ボトルの中に組み立てた船を例にあげて、自身の揺れ動く感情を綴った叙情的なロック・チューン。メロディや音像はカントリーの流れを汲んでいるが、間奏で入る赤ちゃんの泣き声のサンプリングが印象に残る。
10LIGHT POLLUTION
デジタル処理を駆使した、凝りに凝ったアレンジが楽しめるナンバー。エフェクトされたコナーのヴォーカルや、さまざまな楽器のエディットされた音色が入り乱れる。聴き手を勇気づけるような明朗なメロディも秀逸。
11THEME FROM PINATA
“ぼくはこの人生を愛している”というポジティヴなメッセージを綴った、穏やかなメロウ・チューン。アコースティック・ギターの柔らかい旋律と優しいヴォーカルが絡み合ってたゆたうさまは、とても美しい。
12EASY/LUCKY/FREE
語りかけるような優しいヴォーカルとゆったりしたビート、穏やかなギターの旋律がたゆたう、美しいメッセージ・ソング。戦争の哀しみと“幸運で気楽で自由でいられること”の素晴らしさを綴った歌詞は秀逸。
[Disc 2]
01TAKE IT EASY (LOVE NOTHING)
全米シングル・チャート2位を獲得したナンバー。友人関係だった男女が一線を超えたときの心情を、男性側の目線で綴っている。エフェクトされた明るいコナーのヴォーカルと、軽快なシンセ音が絶妙に絡み合う。
02BURN RUBBER
03CREMATION