ミニ・レビュー
前2作同様、豪華ゲストを満載。スティーヴン・タイラー参加の(5)などいかにもだが、独特のおおらかな混交性を感じさせるのは、トゥレ・クンダを迎えたメレンゲの(7)。ロス・ロンリー・ボーイズとロス・ロボスを取り違えた解説はさすがにまずいのでは。★
ガイドコメント
約2年半ぶりとなるオリジナル・アルバム。前作に引き続き、今回もミシェル・ブランチほか多彩なアーティストをゲストに迎え、壮大なラテン・ロック・グルーブが渦巻くコラボレーション・アルバムとなっている。
収録曲
01HERMES
サンタナ・バンドならではのグルーヴを体感できる曲。ラテン・パーカッションとホーン・セクションが鳴り響くサンタナ・サウンドをバックに、カルロスの哀愁のギター・ソロが炸裂する。初期のファンも、中期のファンも、そして現在のファンも納得させる力業の勝利。
02EL FUEGO
2005年型のラテン・ロック・サウンドに乗って、アンディ・ヴァルガスとカルロス・サンタナが歌うヴォーカル曲。もちろん歌心満載のギター・ソロもフィーチャーされている。サンタナ・バンドの音楽的充実を証明するような歌と演奏が楽しめる強力なオリジナル曲。
03I'M FEELING YOU
ミシェル・ブランチ&ザ・レッカーズとのコラボレーションによる曲。ブランチのヴォーカルをフィーチャーしたキャッチーなポップ・ソングで、パーカッション以外のラテン的な要素は稀薄だが、それでもカルロスのリード・ギターだけはたっぷりと楽しめる。
04MY MAN
メアリー・J.ブライジ&Big Boiとのコラボレーションによる曲。サンタナ仕様のラテン調ファンク・ビートに乗って、ブライジのセクシーなヴォーカルとBig Boiの饒舌なラップが披露される。もちろんカルロスのリード・ギターも全編にわたって弾きまくられている。
05JUST FEEL BETTER
エアロスミスのスティーヴン・タイラーとのコラボレーションによる曲。タイラーのヴォーカルをフィーチャーしたドラマティックなバラード。少し速めのミディアム・テンポによる前のめりのビートが効いている。映画の主題歌にしたら大ヒット間違いなしの名曲。
06I AM SOMEBODY
ブラック・アイド・ピーズのウィル・アイ・アムとのコラボレーションによる曲。アップ・テンポの陽気なラテン・ファンク・ビートに乗って、テンションの高いウィルが饒舌に歌いまくる。最初から最後まで高揚感が維持される強力な曲。もちろんカルロスのギター・ソロもナイス。
07CON SANTANA
トゥレ・クンダのイスマイラ&ティディアン“Sixu”トゥレとのコラボレーションによる曲。アンディ・ヴァルガスのヴォーカルをフィーチャーしたメレンゲ調ラテン・ロックが楽しめる。サンタナとトゥレ・クンダの音楽性が理想的な配分で融合された名曲&名演。
08TWISTED
遅咲きのR&Bシンガー、アンソニー・ハミルトンとのコラボレーションによる曲。ハミルトンの個性的な歌声をフィーチャーしたラテン風味のソウル・バラード。カルロスのギター・ソロとラテン・パーカッションがハミルトンのヴォーカルに絡む展開が心地よい。
09TRINITY
ギタリストのカーク・ハメット(メタリカ)とペダル・スティール・ギター奏者ロバート・ランドルフとの共演によるインストゥルメンタル曲。カルロスとカークのツイン・リード・ギターにロバートのペダル・スティールが絡むそのサウンドは、まさにギタリストのパラダイス。
10CRY BABY CRY
新世代レゲエの旗手ショーン・ポールと天才少女R&B歌手ジョス・ストーンとの共演によるレゲエ調バラード。サンタナ版レゲエ・ビートに乗って、ショーンが饒舌に語りまくり、ジョスがセクシーな声で歌いまくり、カルロスが哀愁のリード・ギターを弾きまくる。
11BROWN SKIN GIRL
デビュー直前の米国産アイドル、ボー・バイスのヴォーカルをフィーチャーした曲。ルックスの良いけど歌唱力もあるボーの魅力的な歌声を活かしたミディアム・テンポのポップ・ソング。カルロスのリード・ギターも期待の新人を優しくバックアップしている。
12I DON'T WANNA LOSE YOUR LOVE
ロス・ロンリー・ボーイズとの共演曲。若きガルサ3兄弟による瑞々しいバンド・サウンドにカルロス師匠のリード・ギターが絡む。曲自体がキャッチーだし、ヘンリー君のヴォーカルも魅力的。しかも師匠との相性も抜群に良いから、名演にならないわけがない。
13DA TU AMOR
2005年型ラテン・ロック・サウンドをフィーチャーした曲。スピード感あふれるラテン・ビートに乗って、アンディ・ヴァルガスが自慢の美声を披露し、カルロス親分のリード・ギターが炸裂する。サンタナが時代とズレていないことを改めて思い知らせる名演。