ガイドコメント
1975年のツアーに合わせてリリースされたベスト・アルバム。4枚のアルバムからのセレクションで、実験的でユーモアと若き日のパワーに満ちた作品集として聴き応えのある作品だ。
収録曲
01BROWN SUGAR
言わずと知れたストーンズの代表曲。1971年4月、ストーンズ・レーベルの第1弾アルバムからのシングル・カット曲として発売され、全米1位、全英で2位を獲得。楽曲の良さに加え、米国南部の音楽の要素を取り入れた演奏、アレンジ、どれを取っても自信と風格が漂う。コンサートではセット・リストから一度もはずされたことのない曲。
02TUMBLING DICE
シングルとして1972年に発売、アルバム『メイン・ストリートのならず者』に収録されていた名曲。ゴスペルのような女性バック・ヴォーカル隊をしたがえ、アメリカ南部的な雰囲気を感じさせる、粘っこくいなたい曲調。黒人音楽のエッセンスをディープに追求するこの頃のストーンズの新境地といえる。
03HAPPY
『メイン・ストリートのならず者』に収録。キース・リチャーズがメイン・ヴォーカルをとるナンバーで、まだ声がかすれておらず、若々しく歌い上げる姿が印象的。スピーディな8ビートを基調にスライド・ギターをたっぷり盛り込み、ミック・ジャガーのサイド・ヴォーカルも聴こえ、明るく華やかな雰囲気で聴かせる。
04DANCE LITTLE SISTER
シンプル・イズ・ベストと呼びたくなる、スピーディなロックンロール・ナンバー。エモーショナルなミックのヴォーカル、そこに絡むおなじみのキースのコーラス、ホットなギター・ソロにホンキー・トンク・ピアノなどシンプルな構成の楽曲の中にも聴きどころは多数あり。壁をブチ抜くような強烈なビートも特筆モノ。
05WILD HORSES
グラム・パーソンズ(バーズ、フライング・ブリトー・ブラザーズ)との交流から生まれたというカントリー風ナンバーにして名バラード。この曲にイギリス出身の匂いはまったく感じられない。アメリカでは第2弾シングルとして1971年6月に発売され、最高28位を記録している。
06ANGIE
1973年8月、アルバムの先行シングルとして発売。全英で同年9月5位、全米で10月に1位を記録。日本ではフォーク全盛ということと日本人好みの泣きのメロディが洋楽ファン以外にも受けて、日本におけるストーンズの最大のヒット曲となった。後年、TVのドラマに使用され、CDシングルとしても発売されている。
07BITCH
テンプテーションズのヒット曲「ゲット・レディ」にもちょっと似たブラスがとても印象的なロック。そのブラス・セクションは、サックスにボビー・キース、トランペットにジム・プライスが参加して音に厚みを加えている。ミック・テイラーのギターもやはりかっこいい。シングル「ブラウン・シュガー」のB面だったが、“Bitch”(ばいた=淫売婦)という言葉で放送禁止に。
08IT'S ONLY ROCK'N ROLL
“たかがロックンロール、でもそいつが大好きなんだ!”と高らかに宣言するストーンズのロックンロール讃歌。1974年発表のアルバムの表題曲で、ブルージィなギター・フレーズとヘヴィなグルーヴが交錯するミディアム・ロック・チューン。ブルースのエッセンスをポピュラー・ミュージックへ昇華させる術はさすがの一言。
09DOO DOO DOO DOO DOO (HEARTBREAKER)
1973年12月に2ndシングルとしてアメリカで発売。1974年2月に最高15位を記録している。歪んでいる社会を歌ったものだが、いまだ現代にも通ずるものがある。ここでもビリー・プレストンのほか、LAの人気ホーン・プレイヤー、ジム・ホーン、ボビー・キーズ、チャック・フィンドリーが活躍している。ミック・テイラー、キースのワウワウ奏法も聴きもの。
10RIP THIS JOINT
『メイン・ストリートのならず者』の2曲目に収録されている、ロカビリーのようにも聴こえるスピーディなシャッフル系ナンバー。ギターの細かいリズムの刻みを基本に、ミックのたたみかけていくすばやいヴォーカル、けたたましいほどに鳴らされるピアノ、サックスなど、勢いたっぷりのストーンズ・サウンド。