ガイドコメント
81年発表の編集アルバム。アルバム未収録曲(2)やプロモーション用に製作された(8)など、貴重な音源を集めた作品。第2期を締めくくるベスト的要素もあり、ファンだけでなく一般の洋楽ファンにも聴きやすい。
収録曲
01SHATTERED
アルバム『女たち』(1978年)のラストを飾っていたナンバー。ここに収められたものは、そのアルバム・ヴァージョンとなる。心身ともにボロボロになってしまった哀れな男の心情を綴った作品で、スタジオでいろいろと試したと思われる実験的な音作りを取り入れたサウンドや曲調には、ニューウェイヴからの影響がうかがえる。
02EVERYTHING IS TURNING TO GOLD
アメリカでのシングル「Shattered」(1978年)のB面としてリリースされたナンバーで、オリジナル・アルバム未収録。一聴して「Shattered」と同時期の録音とわかる、同じようなサウンドを持った作品であり、やはりニューウェイヴからの影響がうかがえる。切れ味鋭いギターが曲全体を先導している。
03HOT STUFF
アルバム『ブラック・アンド・ブルー』(1976年)のオープニングを飾っていたハードなファンク・チューン。本ヴァージョンは、アメリカでのシングル発売時にラジオ局を中心に配布されたプロモ・シングルに入っていた、レアなエディット・ヴァージョンだ。非常に黒っぽい曲ということを証明するように、この曲はR&Bチャート入りも果たしている。
04TIME WAITS FOR NO ONE
アルバム『イッツ・オンリー・ロックンロール』(1974年)に収録されていたナンバーだが、ここでは、アルバムよりも2分10秒短いエディット・ヴァージョンが収録されている。ストーンズには珍しいほど美しい響きを持った曲であるが、なかでもミック・テイラーのギター・ソロの素晴らしさは群を抜いている。
05FOOL TO CRY
アルバム『ブラック・アンド・ブルー』(1976年)に収録されていたナンバーだが、ここでは、プロモ・シングルに収められたエディット・ショート・ヴァージョンを収録。サザン・ソウルに通じる味わいを醸し出している素晴らしいバラードで、ミックのソウルフルなヴォーカルはもとより、ニッキー・ホプキンスのピアノ・プレイも光っている。
06MANNISH BOY
ライヴ・アルバム『ラヴ・ユー・ライヴ』(1977年)からのナンバーを短く編集したエディット・ショート・ヴァージョン。オリジナルはマディ・ウォーターズの1955年のR&Bヒットで、今やシカゴ・ブルースの古典といえる有名曲である。こうした曲を演奏するときのストーンズは、まさに水を得た魚のようだ。
07WHEN THE WHIP COMES DOWN
アルバム『女たち』(1978年)に収録されていた曲だが、ここでは、1978年7月6日のデトロイトでのコンサートからのライヴ・ヴァージョンで楽しむことができる。これぞストーンズといえるハード・ドライヴィングなロックンロールが堪能できる会心作だが、やはりライヴ・ヴァージョンだと迫力が倍増して最高だ。
08IF I WAS A DANCER (DANCE PT.2)
アルバム『エモーショナル・レスキュー』(80年)のオープニングを飾っていたダンス・ナンバーだが、ここではアルバム収録のパート1よりも長いパート2ヴァージョン。プロモ12インチ用に作られたものだ。ニューウェイヴ、レゲエ、ダブなど、さまざまな音楽の要素が混在した作品で、80年代初頭のストーンズの意欲的な姿勢がサウンドに反映されている。
09CRAZY MAMA
アルバム『ブラック・アンド・ブルー』(1976年)のラストを飾っていた、へヴィなロックンロール・チューン。ここでは、アルバムよりも少し短いエディット・ショート・ヴァージョンで収録されている。詞、曲、演奏、どれを取ってもストーンズならではの個性に満ちている最高のトラック。
10BEAST OF BURDEN
アルバム『女たち』(1978年)からのナンバーを短く編集したエディット・ショート・ヴァージョン。曲調、ギターのフレージング、そして途中のミックのファルセット唱法と、明らかにカーティス・メイフィールドからの影響がうかがえるナンバーだが、それでもしっかりストーンズらしい曲になっているところは、やはりサスガである。