ガイドコメント
不慮のメンバー変更を乗り越えての、89年発表の4thアルバム。より音圧の増したミクスチャー・サウンドはズッシリと圧倒的で、ファンクとメタルをごった煮したこの重量級の説得力はロサンゼルス発ならでは。
収録曲
01グッド・タイム・ボーイズ
世界をツアーし、行く先々のステージで真っ裸になって演奏する彼らの日常が歌われたヘヴィ・ファンク・ナンバー。新加入のジョン・フルシアンテが鋭いギター・フレーズを連発。歌詞にはファイヤーホースらの名も登場する。
02ハイヤー・グラウンド
「カヴァーしてくれと本人にせがまれた」と、大ウソを流布していたのも笑えたスティーヴィー・ワンダーのカヴァー。原曲をメタリックなサウンドで再構築した秀逸な解釈で、初のシングル・ヒットをイギリスで記録した。
03サブウェイ・トゥ・ヴィーナス
ジミ・ヘンドリックスの2ndアルバムのタイトルも登場する宇宙的視野の歌詞で、ファンクなトラックにもジミヘンからの影響が色濃い。彼らの曲にしては珍しく、明るめな音色のホーン・セクションが使われている。
04マジック・ジョンソン
地元バスケットボール・チーム“LAレイカーズ”を讃えたナンバーで、曲題は同チームの偉大な選手の名前そのまま。ブラス・バンドによる応援歌風の曲調で、マジック・ジョンソンの高速ドリブルを高速ビートで見事に再現。
05ノーバディ・ウィアード・ライク・ミー
新ギタリストとして加入したジョン・フルシアンテが、レッチリの一員として初めて作曲クレジットに名を連ねた曲。ハードなバンド・サウンドに意味不明な歌詞。なにより、ジョンの縦横無尽なギターの狂い咲きっぷりが魅力的。
06ノック・ミー・ダウン
土台にレッド・ツェッペリン「ワントン・ソング」の存在が感じ取れるナンバー。その後の「バイ・ザ・ウェイ」へとつながるメロディアス路線の記念すべき一曲目で、歌詞はドラッグ摂取過多で急死したヒレルに捧げられている。
07テイスト・ザ・ペイン
かつてジョー・サウスが「ハッシュ」でそうしたように、彼らも薬物を女性に見立てたラブ・ソングを歌っている。ただし、こちらは恋焦がれる気持ちではなく未練を断ち切ろうとする内容。落ち着いた音世界は禁断症状の再現か!?
08ストーン・コールド・ブッシュ
歌詞にも登場するジミ・ヘンドリックスの「ドリー・ダガー」を高速で演じたようなファンク・ナンバー。澄ました女性を冷やかす歌詞は、同じくジミの「フォクシー・レディ」風。フリーの快速ベースは人間業にあらず。
09ファイア
彼らが心底リスペクトしているジミ・ヘンドリックスのカヴァー。原曲もかなりの速度だが、こちらはさらにアクセルを踏み込んで制限速度を悠々無視。意図は不明だがモノラル録音をわざわざ擬似ステレオに変換してある。
10プリティ・リトル・ディッティ
フリーとジョンのジャム・セッションから生まれたクールなインストで、この曲をサンプリングしたクレイジー・タウンの「バタフライ」は大ヒット。サンプリングされたこともうなずける、リズム隊の好プレーに注目。
11パンク・ロック・クラシック
本音か皮肉か定かではないが、売れたい気持ちが切実に歌われた直球ハードコア・パンク。最後の最後に、ガンズ・アンド・ローゼズ「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」の一節を弾いてみせるあたりに、ひそやかな悪意が感じられる。
12セクシー・メキシカン・メイド
時代を15年先取った“メイド萌え”ファンク・ナンバー。男が馬鹿な生物であることを証明する、作家性豊かな妄想が列挙されたアンソニー作の歌詞。ポルノ作家としても大成したであろう、たくましすぎる妄想力だ。
13ジョニー・キック・ア・ホール・イン・ザ・スカイ
ネイティヴ・アメリカンが受けてきた迫害の歴史への怒りが歌われたパワフルなメタル・ファンク。過去にも同じ題材を歌っている彼らだが、そのとき以上に怒りは増しているようだ。冒頭ではアメリカ国歌の一部を引用。
14ソング・ザット・メイド・アス・ホワット・ウィ・アー・トゥデイ (デモ)
15ノック・ミー・ダウン (オリジナル・ロング・ヴァージョン)
16セクシー・メキシカン・メイド (オリジナル・ロング・ヴァージョン)
17サルート・トゥ・カリーム (デモ)
18砂のお城 (ライヴ)
19クロスタウン・トラフィック (ライヴ)