ガイドコメント
87年発表の3rdアルバム。前作で打ち出したミクスチャー・ロックと言われる独自のサウンドを完全に確立した一枚。攻撃的にグルーヴするファンキーなナンバーが満載。ギターのヒレル・スロヴァクの遺作となった。
収録曲
01ファイト・ライク・ア・ブレイヴ
ドラッグ依存が極限の域に達しつつあった彼らが、ドラッグの誘惑などネガティヴな要素との闘いを歌ったナンバー。サウンドはビースティ・ボーイズ風でもあり、その後ブームとなるグランジ・ロックを先取りした風でもある。
02ファンキー・クライム
それまで抜きん出ていたフリーのプレイに、他のメンバーがついに追いつきかけていることを感じさせるクールなグルーヴ・ファンク。「ファンクは色が判らない」と歌った歌詞は、“ファンク=黒人”とする世間への反発にも思える。
03ミー・アンド・マイ・フレンズ
個々の演奏が個性的に走り抜けるうえに一体感もある強力バンド・サウンド。特にジミ・ヘンドリックスに近づかんとするヒレルのギターが最高だ。“♪貧乏、貧乏、貧乏で〜す”と聴こえる空耳ナンバーとしてもおなじみ。
04バックウッズ
チャック・ベリー、ボ・ディドリー、リトル・リチャード、ハウリン・ウルフら偉大な先達たちの名を挙げリスペクトするファンク・メタル・ナンバー。ヒレルのスウィンギンなギターと、下世話なリズム隊との絡みに興奮。
05スキニー・スウェッティ・マン
わずか1分16秒間の中にファンカデリックやファンク・ロック期のジミ・ヘンドリックスのエキスがどろどろ溶けている刺激曲。演奏力のあるハードコア・パンク・バンドが、急にファンクを演り始めたようなサウンドを想起できる。
06ビハインド・ザ・サン
歴代のプロデューサーの中では、レッチリとの相性も良かったマイケル・ベインホーンとの共作曲。柔らかなサウンドは、まさに彼が引き出したバンドの新たな魅力。もろ80年代風な音色に、サイケの粉を振りかけたナンバー。
07サブタレニアン・ホームシック・ブルース
ボブ・ディランが早すぎたラッパーであることを見抜いた秀逸な選曲と解釈に拍手。原曲を原形にとどめぬほど解体した前人未到のファンク・フォークだ。この曲を契機に原曲を聴き、そのラッパーぶりに驚かされた人も多いはず。
08パーティ・オン・ユア・プッシー (それは秘密です)
09ノー・チャンプ・ラヴ・サッカー
女性にもてあそばれたアンソニーの実体験が描かれているらしい歌詞で、名指しはしていないにせよ特定の女性への罵倒と怨嗟だけで構成されたナンバー。スラッシュ・メタル調ファンク・サウンドが、歌詞にある感情にリアリティを植えつけている。
10ウォーキン・オン・ダウン・ザ・ロード
11ラヴ・トリロジー
ある楽器はレゲエからファンクに、また別な楽器はファンクからパンクへと展開。それぞれの楽器が統一感のないサウンドを展開しながら、一体感は損なわない見事な演奏力をみせる。愛の形を散文詩風に表現した歌詞は新しい試み。
12オーガニック・アンチ・ビート・ボックス・バンド
ハリウッドのスタジオに観客を招いて録音されたスタジオ・ライヴ音源。当時はまだトップ・バンド入りしていなかった彼らだが、「時は来た!!」と勝利宣言した歌詞どおり、数年後には世界最強バンドへと登りつめ有言実行となりえた曲。
13ビハインド・ザ・サン (インストゥルメンタル・デモ)
14ミー・アンド・マイ・フレンズ (インストゥルメンタル・デモ)