ガイドコメント
1974年発表の5枚目ソロ・アルバム。ジム・ケルトナーやニッキー・ホプキンスなど、豪華アーティストがゲスト参加した隠れた名盤。エルトン・ジョンとの共作「真夜中を突っ走れ」は全米1位を記録した。
収録曲
01GOING DOWN ON LOVE
アルバム『心の壁、愛の橋』を制作するきっかけとなった曲。みずからの愚かさを反省しているような歌詞だが、その歌声は驚くほど力強い。ホーン・セクションを導入した擬似レゲエ調のサウンドからも、ジョンの迷いはまったく感じられない。
02WHATEVER GETS YOU THRU THE NIGHT
03OLD DIRT ROAD
コーラスにも参加している悪友ニルソンとの共作による美しいバラード。寓話的な歌詞を物語るように歌うジョン。その歌声に寄り添うニッキー・ホプキンスのピアノも秀逸。劇的に動くストリングスをフィーチャーしたサウンドの浮遊感も素晴らしい。
04WHAT YOU GOT
リトル・リチャードの「リップ・イット・アップ」からヒントを得て「土曜の夜」を歌った曲。ホーン・セクションをフィーチャーしたジョン・レノン版ファンク・ロック。ジョンの曲としては異色のサウンドだが、とにかく彼のシャウトを堪能するための1曲。
05BLESS YOU
06SCARED
07 9 DREAM
08SURPRISE, SURPRISE (SWEET BIRD OF PARADOX)
“失われた週末”時代の愛人メイ・パンをモデルにした曲。ここでのジョンはビートルズ初期を彷彿とさせる若々しい歌声を披露。エルトン・ジョンにはポールの役割を演じさせ、エンディングでは「ドライヴ・マイ・カー」のコーラスを再現してみせる。
09STEEL AND GLASS
悪徳マネージャーのアラン・クラインを批判した曲だが、歌詞にはジョンが自分自身に向けて歌っているとも思える一節もある。異様なまでに大仰なストリングスを駆使したサウンドも凄まじいが、何よりもジョンの凄みのあるヴォーカルが圧巻。
10BEEF JERKY
ジョンが公式にリリースした作品の中では唯一のインストゥルメンタル・ナンバー。ホーン・セクションをフィーチャーしたファンキーなサウンドに跨って、ジョンは悪友ジェシ・エド・デイヴィスとの息の合ったツイン・ギターを披露している。
11NOBODY LOVES YOU (WHEN YOU'RE DOWN AND OUT)
12YA YA
スネア・ドラムを叩く当時10歳の息子ジュリアンとの共演によるリー・ドーシーの曲。といっても、1分足らずでフェイド・アウト。このトラックを聴くたびに「成人したジュリアンにも父親と共演する機会を与えてやりたかったね」とジョンに話しかけたくなる。
13WHATEVER GETS YOU THRU THE NIGHT
14NOBODY LOVES YOU (WHEN YOU'RE DOWN AND OUT)
「フランク・シナトラが歌う姿を想像しながら書いた」という名曲の別ヴァージョン。豪奢なオーケストレーションを配したオリジナル版も素敵だが、生ギターの弾き語りによるこのヴァージョンではジョンの歌声と曲自体の魅力がより直接的に体感できる。
15JOHN INTERVIEW BY BOB MERCER
1974年に行なわれたジョンへのインタビュー。インタビュアーは、ボブ・マーサー。ジョンはシングル「真夜中を突っ走れ」とアルバム『心の壁、愛の橋』について、そしてアメリカでの永住権獲得のための戦いについて語っている。