ガイドコメント
96年のアルバム『バンザイ』のリニューアル盤。大ヒット曲を多数含むオリジナル盤収録の10曲に、これまでのカップリング曲や未発表曲9曲をコンパイル。コアなファンにもうれしい充実の1枚。
収録曲
[Disc 1]
01ガッツだぜ!!
02トコトンで行こう!
パワー・コードのリフと、オールド・スタイルなオルガンが印象的な70年代風ハード・ロック・ナンバー。アメリカン・ハード・ロックにブラック・ミュージックの要素を合わせたスタイルは、あたかも後期グランド・ファンクのよう。ロックンロールの王道フレーズを彼らなりに昇華したギター・ソロも見事。
03バンザイ〜好きでよかった〜
04暴動チャイル
「Voodoo Chile」のパロディと思しきタイトルが印象的なハード・ドライヴィング・ナンバーだが、ジミ・ヘンドリックスっぽさはほとんどない。全体的にアメリカン・ハード・ロックの影響が垣間見られるが、ツイン・ギターのハーモナイズを活かしたギター・ソロは、少しブリティッシュ・ロックっぽい。
05SUN SUN SUN '95
95年7月にリリースされたサマー・チューン。ミシェル・ポルナレフ「シェリーに口づけ」を思い出すイントロから、エレキ・サウンドを彷彿とさせるナチュラルなバッキングで、夏のさわやかな雰囲気を醸し出す。ベンチャーズのファンはニヤリとすること間違いない間奏も聴きもの。
06てんてこまい my mind
いわゆるブルース進行を使用したノヴェルティ系ポップスとしては、フィンガー5「恋のダイアル6700」、水森亜土「好き好きソング」、森高千里「ロックンロール県庁所在地」などが知られているが、本作はそんなブルース進行を使用した楽しいナンバー。彼らのルーツを垣間見ることができる。
07大阪ストラット (アルバム・ヴァージョン)
オリジナルは大滝詠一『Niagara Moon』に収録された「福生ストラット」で、ミーターズを意識したかのようなニューオリンズ風ナンバー。ウルフルズは、『Niagara Moon』制作当時に大滝がプロデュースしていたココナツ・バンクの伊藤銀次をプロデューサーに迎え、よりブラック・テイストたっぷりのサウンドに仕上げている。
08ダメなものはダメ
「てんてこまい my mind」「大阪ストラット」などと並ぶ、『バンザイ』収録の白眉のノヴェルティ・ソング。この曲も進行はブルースで、ジェイムス・ブラウンような60〜70年代のファンク・サウンドを再現、見事に彼らの個性と融合してオリジナリティあふれるファンク・ナンバーに昇華させている。
09おし愛 へし愛 どつき愛
『バンザイ』収録作のなかでは珍しくブラック・ミュージックの影響があまり感じられないシンプルなナンバー。ローリング・ストーンズやJ・ガイルズ・バンドのような王道ロックンロールで、サウンドだけ聴けば正統派の作りになっているが、彼らならではのユニークな歌詞でオリジナリティを際立たせている。
10泣きたくないのに
96年1月のアルバムの『バンザイ』がリリースされた当初は、ラストに配されていたミディアム・バラード・ナンバー。ブルースではおなじみの3拍子系のリズムを持つナンバーで、ロッカ・バラード風に料理したところなど、彼らならではのセンスが感じられる。
11安産ママ
95年3月のシングル「トコトンで行こう!」のカップリング・ナンバーで、ブギのリズムを持ったブルース・ナンバー。シンプルなブルース進行のスリー・コードながら、個性的なメロディ・ラインでウルフルズ色を存分に出している。勢いのある鋭いスライド・ギターが、よりブルース色を強めている。
12それがドーシタ
95年3月のシングル「トコトンで行こう!」のカップリング・ナンバーで、シンプルなエイト・ビートのリズムを持ったノヴェルティ・ナンバー。ごくごくノーマルなリズム・パターンでも、どことなくブラック・ミュージック色が感じられるのは、彼らの独特なノリとファンキーなヴォーカルのたまもの。
13ウソつけ!ウソいえ!ウソぬかせ!
95年7月のシングル「SUN SUN SUN'95 Mission:UNBELIEVABLE Vol.2」のカップリング・ナンバー。ブルースをベースにしたエイト・ビートのナンバーながら、通常の12小節進行ではなく、16小節の変則進行+12小節の通常進行という2段構成になっている。後半に一瞬だけ、牧歌的になるアレンジもお見事。
14今夜どう? (ここまではOK!)
95年7月のシングル「SUN SUN SUN'95 Mission:UNBELIEVABLE Vol.2」のカップリング曲。ファンキーなギター・カッティングとステディなベースのリフを基調に、メロディアスな展開が見事な好ファンク・ナンバー。ファンクにありがちな単調さがまったくないのが見事。MCでは各メンバーがフィーチャーされている。
15いいたい事はそれだけ
95年12月発表のブレイク・スルー・ナンバー「ガッツだぜ!!」のカップリング曲。スワンプなどの影響が感じられるイントロのギター・フレーズがとてつもなく美しい。ブラック・ミュージックの影響を感じさせながらも、ポピュラリティのあるサウンドを創り出すセンスが素晴らしい。
16春一番 (スタジオ・ライヴ・ヴァージョン)
キャンディーズの1976年の大ヒット曲のカヴァー。オリジナルのポップなアレンジでの再現ではなく、バッファロー・スプリングフィールドを彷彿とさせるウエストコースト・サウンド風に料理している。木原龍太郎、トータス松本、ウルフル・ケイスケのソロの応酬もライヴならでは。
17いい女 (スタジオ・ライヴ・ヴァージョン)
92年6月発売のアルバム『爆発オンパレード』に収録のナンバー。シングル「バンザイ〜好きでよかった〜」にもカップリングでライヴ・ヴァージョンが収録されている。ロッカ・バラードのリズムを持ったナンバーで、心に染み渡る歌詞が素晴らしい。臨場感あふれる盛り上がりはライヴならでは。
18大阪ストラット (パート1) (未発表ヴァージョン)
「大阪ストラット」の未発表テイクで、サウンド的にはほとんど変わりがない。プロデュースを担当している伊藤銀次がかつて率いていたココナツ・バンクは解散してしまったが、もし当時この曲を発表していたらこんなサウンドになっていたのかもという想像もできそう。
19イェーマン
幻の未発表曲。シンプルなエイト・ビートのロック・ナンバーで、コール・アンド・レスポンスが期待できるノヴェルティ・ソング。ロックンロールに必携のペンタトニック・スケールを使用したギター・ソロのほか、ステディなリズムなどいうことなしの正調ロックンロールに仕上げている。
[Disc 2]〈DVD〉PV撮影風景/学園祭ライヴ映像/スタジオライヴ映像