ガイドコメント
サンタナの数ある作品の中でも最も完成された、1972年の傑作コンセプト・アルバム。大半がインスト・ナンバーで、その壮大なスケールのインプロヴィゼーションは他の追随を許さない。
収録曲
01ETERNAL CARAVAN OF REINCARNATION
虫の声のSEにハドリー・カリマンのサックスが絡むイントロで幕を開けるコンセプト・アルバムの1曲目。ドラムスとパーカッションは風のように鳴り、トム・ラトリーのアコースティック・ベース、ニール・ショーンのギター、ウェンディ・ハースのピアノが静かに語り合う。
02WAVES WITHIN
静かな1曲目から一転してダイナミックに動き始める2曲目。シュリーヴの立体的なドラミングを中心にコンガやティンバレスが複雑なポリリズムを展開し、カルロスのリード・ギターが歌い始める。サンタナ流アフロ・キューバン・ジャズの世界が楽しめる。
03LOOK UP (TO SEE WHAT'S COMING DOWN)
カルロスのギターが先導するサンタナ流アフロ・キューバン・ファンク。キャラヴァンの進行を象徴するポジティヴなリズム・セクションをバックに、カルロスのリード・ギターが高らかに歌い上げ、それにローリーのオルガンが絡む、というサンタナ的展開を披露する。
04JUST IN TIME TO SEE THE SUN
『キャラバンサライ』の最初のヴォーカル曲。サンタナらしい8分の6拍子のリズムに乗って、カルロスが歌う。カルロスとニールのギター、チェピートのティンバレス、ローリーのオルガン、シュリーヴのドラムスによる真正サンタナ・サウンドが堪能できる。
05SONG OF THE WIND
シュリーヴが奏でるジャズ+サンバ+ボサ・ノヴァ・リズムに乗って、カルロスとニールのギターが絡み合いながら歌い上げる。新加入のジェイムズ・ミンゴ・ルイスのコンガも心地よい。脱退直前のローリーのオルガンもやや控えめながら存在を主張している。
06ALL THE LOVE OF THE UNIVERSE
カルロスが宇宙の調和を歌い上げるヴォーカル曲。ミンゴ・ルイスとリタ・レジェスのコーラスも好サポート。脱退寸前のニールとローリー、そしてベース奏者ダグラス・ローチが派手なインタープレイを繰り広げる後半のインストゥルメンタル・パートも素晴らしい。
07FUTURE PRIMITIVE
聴き手の不安感を煽るようなサウンド・エフェクト(byマイク・シュリーヴ)をバックに、チェピートとミンゴがコンガ、ボンゴ、ティンバレスで高速ルンバ・ビートを叩きまくる。ミンゴのコンガ・ソロとチェピートのティンバレス・ソロをたっぷりと堪能できる。
08STONE FLOWER
アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲をアフロ・キューバン調にアレンジし、新たに英語詞を付け加えた独創的なサンタナ・ヴァージョン。新旧のメンバーが一同に会した過渡期の、しかし魅力的なサンタナ流ラテン歌謡サウンドをポップに展開している。
09LA FUENTE DEL RITMO
クラベスの乾いた響きから始まるパーカッション主導のジャム・セッション。作曲者ミンゴはピアノも弾き、高速マンボ・ビートを叩き出すパーカッション陣を先導する。新加入の古強者アルマンド・ペラーサのボンゴ・ソロが新生サンタナの時代を切り開く。
10EVERY STEP OF THE WAY
シュリーヴ主導によるジャム・セッション。ラテン・ファンク調のイントロから高速マンボへと突入し、それぞれがソロ・プレイで自己主張を展開するが、やはり圧巻はカルロスのエモーショナルなギター・ソロ。トム・ハレル編曲によるホーン・セクションも好演。