ガイドコメント
92年にリリースされたレア・トラック集。未発表音源や、イギリスBBCラジオのジョン・ピール・セッション、マーク・グッディア・セッションなどを収録した、バラエティに富んだ内容。
収録曲
01DIVE
“ダイヴ、ダイヴ”と、歌詞でモッシュをうながすヘヴィ・ナンバー。カート考案のギター・リフにクリス考案のベース・ラインを重ねた曲だが、勝るのはベースの魅力か。シングル「スリヴァー」のB面曲として発表された。
02SLIVER
90年発表のサード・シングル。シングル曲にふさわしいキャッチーな佳曲で、祖母に哀願する歌詞も印象的だ。表情豊かなベース・ラインが曲全体のグルーヴを牽引している。ダン・ピーターズ(マッドハニー)がドラムスを担当。
03STAIN
EP「ブルー」(89年)収録のスピーディなナンバー。歌も演奏も簡素な素材でコンパクトに構成されているにもかかわらず、これだけの起承転結が演出できるのはさすが。歌詞では、カート視点による父親の視線を表現する。
04BEEN A SON
EP「ブルー」(89年)収録ナンバーのBBCセッション音源で、録音は91年11月9日。『ラバー・ソウル』期のビートルズをニルヴァーナ・スタイルに翻案したような、パンクでポップでハーモニックな演奏がすこぶる魅力的だ。
05TURNAROUND
豪日限定ミニ・アルバム『ホルモウニング』収録のBBCセッション音源で、録音は90年10月21日。ディーヴォのニューウェイヴ・ナンバーを、ソリッドな魅力は活かしつつグランジ化。愛情たっぷりの秀逸なカヴァーに仕上がっている。
06MOLLY'S LIPS
カートが“生涯最高のバンド”と讃える、ヴァセリンズのカヴァー。過去にもこの曲のカヴァーを発表している彼らだが、ここで聴けるのは90年10月21日録音のBBCセッション音源。もはやリメイクに等しい独自性が見事だ。
07SON OF A GUN
カートが“生涯最高のバンド”と讃える、ヴァセリンズのカヴァー。原曲同様の叩きつけるようなプレイながら、デイヴのパワフルすぎるドラミングがオリジナルを思わせる雰囲気に。90年10月21日録音のBBCセッション音源。
08(NEW WAVE) POLLY
09BEESWAX
“キル・ロック・スターズ”レーベルのオムニバス『Kill Rock Stars』(91年)に提供された、88年初頭の録音曲。ラフ&ヘヴィなサウンド、ハイ・テンションなヴォーカル、そしてむやみに大きな音処理のドラミングが印象的だ。
10DOWNER
カートが敬愛するバンドのひとつ、ブラック・フラッグを思わせるハードコアなナンバー。為政者を罵倒する政治的な歌詞にも、彼らからの影響がみられる。『ブリーチ』のCD化に際し、ボーナス・トラックとして追加収録された。
11MEXICAN SEAFOOD
“C/Z”レーベルのシングル企画シリーズ“Teriyaki Asthma”の第1弾(89年)に提供されたパンキッシュなナンバー。変則的でリズミカルなメロディアス・サウンドに乗せ、なにやら泌尿器系の痛みを訴える詞が歌われる。
12HAIRSPRAY QUEEN
随所にニューウェイヴ調のトンがったギター・フレーズが配された、88年初頭録音のナンバー。カートがエキセントリックに、クールにと、さまざまな表情のヴォーカルで楽しませてくれる。さりげなく跳ね続けるベースも◎。
13AERO ZEPPELIN
エアロスミスとレッド・ツェッペリンを合体させたタイトルが示唆するとおり、1970年代ロックへのオマージュで構成されたナンバー。重厚なリズムやリフに乗せ、“文化は過去の焼き直し”と音楽業界をシニカルな視点で揶揄する。
14BIG LONG NOW
スローな曲調が適さないとの判断で、デビュー作『ブリーチ』には収録されなかったナンバー。淡々として荒んだ雰囲気のサウンドが魅力的で、スローなテンポからさらに少しずつ速度を落とす終盤の展開も秀逸だ。
15ANEURYSM
シングル「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」収録曲として発表されたナンバーのBBCセッション音源(91年11月9日録音)。長く複雑なイントロをはじめ、曲構成が高度かつ難解。それでいてキャッチーさを損なわないのが見事だ。