ガイドコメント
デヴィッド・ボウイをプロデューサーに迎えた、名盤の誉れ高い2ndアルバム。奇妙な世界を描いた作品で、現在でも語り継がれる代表曲「ワイルド・サイドを歩け」を収録。
収録曲
01VICIOUS
初期ヴェルヴェッツを彷彿とさせるシンプルなコード進行とフリーキーなメロディがクセになる一曲。サビを盛り上げるコーラスで随分とポップなものに仕上げており、エキサイティングなギター・プレイも含めて新しい力に満ち満ちた曲となっている。
02ANDY'S CHEST
ギターの音を極力省き、リズム隊とルーの陰鬱な歌声のみで構成されたスロー・ナンバー。全体の暗さをフォローするようにサビでは陽気なコーラスが導入されているが、これにより躁鬱入り交じった不思議な味わいのする楽曲として仕上がっている。
03PERFECT DAY
ピアノとストリングスを大々的にフィーチャーしたラブ・バラード。恋人と過ごすその日を「完璧な一日」と表現するなど、本当にルーが書いたのかと疑いたくなるほど甘い歌。しかし曲の持つ美しさは白眉。彼のキャリアの中でも1、2を争う代表曲だ。
04HANGIN' ROUND
後期ヴェルヴェッツを思わせるがっつりとしたバンド・サウンドを展開した一曲。カントリー調なコード進行やリフを駆使したり、ノリの良いピアノのサウンドも取り入れたりと、随所に50年代に対するオマージュが見え隠れしている。
05WALK ON THE WILD SIDE
キャリア中唯一のヒット・シングル。ウッドベースのルーズなリズムをベースにアコースティック・ギターやストリングス、ブラスを絡ませ、どこか荒涼としたメロディの中にルーが淡々と歌う声がとても印象的だ。
06MAKE UP
メイクアップして少女から女へと変わっていく恋人の姿を歌った曲。リズム隊とギターのアルペジオという音数の少ないサウンドにブラスがアクセントを加えている。ときめいたルーの歌声からは恋のパッションが十分すぎるほど伝わってくる。
07SATELLITE OF LOVE
恋人を見続けていたいという欲求を「人工衛星」に喩えた一曲。コーラスだけでも十分浮かれているのが伝わってくるが、それだけでは飽き足らず、ブラスやハンドクラップまで導入し、クライマックスにはお花畑のようなロマンティックなサウンドになっている。
08WAGON WHEEL
カントリー調の無骨なギターにソウル・ミュージックの女性コーラスを融合させた疾走感と情熱あふれるナンバー。後半のルーとコーラス隊との掛け合いはかなり気持ちを盛り上げてくれる熱さだ。
09NEW YORK TELEPHONE CONVERSATION
1分半ほどの短い曲だが、おどけた曲調はまるで童謡のよう。歌詞もニューヨークの日常を切り取った寓話的な内容であることから、これはルー・リードが大人に向けて作った童謡だと受け取れる。遊び心とは裏腹なシニカルさが刺激的だ。
10I'M SO FREE
モッズ・サウンドのようなソリッドなギター・リフがカッコいい一曲。それまで彼を悩ませていたレコード会社とのゴタゴタが解決し、その開放感を歌ったと思われる。それだけに後半のハンドクラップやコーラスはかなりハッピーな感じで鳴り響いている。
11GOODNIGHT LADIES
ニューオリンズのジャズ・バンド・セッションを思わせるムーディな一曲。ルーズなリズムや夢見心地なブラスのフレーズと、何から何までロマンティックな色に塗りつぶされているが、一番ロマンティックなのは陶酔し切ったルーの歌声だろう。
12HANGIN' ROUND
『トランスフォーマー』がデジタル・リマスタリングされた際に発表されたデモ音源。ダイナミックなバンド・セッションを展開する原曲とは異なり、ルーの弾き語りスタイルとなっている。アコースティックとは思えないほど力強い演奏と歌声に思わず息をのむ。
13PERFECT DAY
ピアノとストリングスで美麗に彩られていた原曲とは異なり、ギターでの弾き語りとなっているためにいくぶんか無骨な感じ。ロックの詩人、ルー・リードとしてはこちらの方がしっくりくると感じる人も多いのでは?