ミニ・レビュー
映画主題歌となりヒットした詩情あふれる(7)を含む3作目。ずっしりとした重量感がありながら表情は穏やかなバラードの(1)、小田和正がコーラスで参加したフォーキーな(5)、サウンドがみずみずしい(8)、ポップかつメロディアスな(9)、ファンク風味の(11)など粒揃いの傑作。★
ガイドコメント
スキマスイッチの3rdアルバム。「ボクノート」「ガラナ」「スフィアの羽根」「惑星タイマー」(福耳として発表したナンバー)など、話題曲が満載の超強力盤となっている。
収録曲
01藍
ピアノから始まるしっとりとしたミディアム・ナンバー。なかなか成就しないのに、それでも誰かを好きになってしまう「愛」について考え、その答えが出なくて途方にくれるさまを、ゆったりとしたヴォーカルで綴っている。
02ガラナ (album ver.)
8thシングルのアルバム・ヴァージョン。前向きな力を与えてくれるパワフルなヴォーカルが魅力のアップ・テンポのナンバーで、アウトロはアルバム『夕風ブレンド』の次曲「スフィアの羽根」へとつながるアレンジとなっている。
03スフィアの羽根 (album ver.)
アルバム『夕風ブレンド』で前曲「ガラナ」から繋がって始まる、落ち着いたムードのミディアム・ナンバー。“行けるところまで行くのだ”という前向きな詞と、ラストの静かに鳴り響くストリングスの音色が印象的だ。ABCテレビ『2006 夏の高校野球』統一テーマ・ソング。
04惑星タイマー (album ver.)
彼ら自身も参加した福耳の楽曲で、アルバム『夕風ブレンド』で「スフィアの羽根」の後奏から繋がるアレンジのヴァージョン。ピアノとストリングスの音色が印象的なバラードで、歌詞の「彗星」「オーロラ」「太陽系」など、壮大な世界観を持ったラブ・ソングになっている。
05月見ヶ丘
アコギの音色を中心としたシンプルなサウンドで聴かせるアップ・テンポのナンバー。休日に恋人と聴きたいようなストレートなラブ・ソングで、二人で月が見える丘にいるにもかかわらず、月に「向こうを向いて」という描写がかわいらしい。
06空創トリップ
ピアノとストリングスからなる、1分半のしっとりとしたインストゥルメンタル・ナンバー。前曲「月見ヶ丘」のイメージを引き継いだ“夜”を思わせる幻想的なメロディが心地よい。みんなが寝静まった夜に一人で密かに聴きたい曲だ。
07ボクノート
映画『ドラえもん-のび太の恐竜2006』の主題歌としてファン層を広げた、エポック・メイキング的作品。少年期のナイーヴさと定まらないアイデンティティに翻弄される姿を唄った本作は、まさにのび太そのもの。
08ズラチナルーカ
ピアノとドラムのリズムが印象に残るアッパー・チューン。テンポは速いが、しっとりとした雨を思わせる詞世界とシンプルなサウンドが上品さを感じさせる。幻想的なタイトルは、“空の港”“空にうかぶもの”を意味するセルビア語。
09糸ノ意図
アコギのアルペジオから始まる明るいアップ・テンポな曲。「カンダタ」を思わせる「カンタンダ(簡単だ)」をはじめ、芥川龍之介『蜘蛛の糸』から影響された世界観が広がっているが、詞の内容は恋愛がベースになっているのが彼ららしい。
10アカツキの詩 (album ver.)
先行シングルのアルバム・ヴァージョン。基本的にはオリジナルとさほど変わらないが、後奏にトランペットとストリングスの音色が加わり、時間も長くなっていて、よりドラマティックに切なさの余韻を演出している。
11アーセンの憂鬱
ベースに亀田誠治を迎え、ホーン・セクションを効かせた大人っぽく華やかなサウンドが特色のアップ・ナンバー。大好きな相手に向かって一直線な男の心情と行動を歌っていて、たどり着くも相手から掌底を食らうというオチが爽快。男性には少し気の毒?
12願い言
ドラムとピアノを中心としたシンプルなサウンドのスロー・バラード。後半のストリングスも入ったドラマティックな展開が、心をホッと温かくする。彼女へのプロポーズともとれるストレートなラブ・ソングだ。
131+1
アルバム『夕風ブレンド』のラストを飾る、ピアノの繊細な音色が心地よいスロー・ナンバー。前曲「願い言」のその後を綴ったような、彼から彼女へのまっすぐな愛を歌っている。ヴォーカルの声も穏やかで優しく、幸せな気持ちになれる1曲。