ミニ・レビュー
映画『スパイダーマン2』の主題歌で一気にブレイクしたスウェーデンの女性シンガーの2作目。フィンランドの新人バンド、ブリークの参加も得て、前作とは異なるロック寄りの、それも彼女が好きだというグランジっぽいヘヴィ・サウンドを聴かせているから驚く。
ガイドコメント
映画『スパイダーマン2』のテーマ曲で一躍有名になったスウェーデンの女性ロック・シンガー、アナ・ジョンソンの2ndアルバム。表情豊かなヴォーカルが魅力で、意志の強さや彼女の人間性が伝わってくるようだ。楽曲のクオリティも高い。
収録曲
01LITTLE ANGEL
作ったアナ・ジョンソンが、まるで自分の子供みたいに強い思い入れを感じたことから名づけたアルバム・タイトル曲。歌詞には、ボロボロで辛い状況にあったときの彼女自身の心情がストレートに反映されている。
02BREAK THROUGH TIME
終身刑を言いわたされ、20年以上も獄中にいるスウェーデン人女性の実話にインスパイアされたナンバー。アナ・ジョンソンがまるで獄中の女性になりきったような視点で、人生のやり直しを心から願う、切実な祈りの歌だ。
03EXCEPTION
スウェーデン映画『EXIT』のテーマ曲として書かれたナンバー。善悪の狭間で苦しむ主人公の立場に立って歌われている曲で、重厚なロック・サウンドが、まるで主人公の感情を代弁するかのような強烈なインパクトで迫り来る。
04CATCH ME IF YOU CAN
“捕まえられるものなら捕まえてごらん”と歌う、「2007年アルペン世界選手権」オフィシャル・ソング。スノーボードが大好きなアナ・ジョンソンがノリノリのヴォーカルを聴かせてくれる、ドライヴ感満点のナンバーだ。
05WHAT IF
普段から新聞を読んだりニュースを見たりして、自分を取り巻く世の中のことを考える機会が多いというアナ・ジョンソン。世の中がもっと良くなってほしいと願う率直な気持ちを、抑え目のテンポでエモーショナルに歌い上げるナンバーだ。
06PLAYING GOD
ストックホルムで実際に起きた殺人事件をヒントに書いた作品。「誰も人の命を思いのままにすることなどできない」と犯人に対する怒りを訴えかけている。こうした真摯な姿勢がアナの魅力のひとつでもあるのだ。
07BURN
アナ・ジョンソンが実際に出会った無責任な人間へ向けた、痛烈な皮肉に満ちたナンバー。サウンド面ではチェンバロを導入するなどちょっぴり異色の仕上がりで、どことなくクラシカル・ロック的なムードを漂わせているのが特徴だ。
08DAYS OF SUMMER
子供時代の自由な夏の日々を思い出しながら歌ったというナンバー。シリアスなタイプの楽曲が多く並ぶアルバム『リトル・エンジェル』では、この曲のポジティヴさがひときわ輝きを放っている。アナのヴォーカルも何だか気持ち良さそうだ。
09THE HARDER WE FALL
“世界はどこに向かっているのか”をテーマに掲げたナンバーで、現代に蔓延する消費社会に横やりを入れる内容となっている。こうした社会問題に非常な関心を持つ彼女には、若くして社会派シンガーの資質が感じられる。
10STILL
“甘ったるいラブ・ソングは安っぽい気がするから書かない主義なの”と語るアナ・ジョンソンにとって、本作は数少ないピュアなラブ・ソング。ずっと前に別れた恋人のことを、今でも変わらず愛している……そんな恋心が切々と表現されている。
11SPIT IT OUT
カッコつけて陰口ばかり叩くスウェーデンのジャーナリストを攻撃する内容で、あっという間に書き上げてしまった作品だそう。疾走感にあふれたストレートなロック・チューンで、ライヴでひときわ盛り上がるというのも納得だ。
12COMING OUT STRONG
フィンランドのロック・バンド、ブリークの中心人物、ケイレブとの共作による力強いロック・チューン。つらい体験をした友人を励ます内容で、聴いている自分まで元気づけられるようだ。パワフルなヴォーカルは、これぞアナ・ジョンソンといえる。
13FALLING TO PIECES
アルバム『リトル・エンジェル』の日本盤のみに収録されたボーナス・トラックで、「ザ・ハーダー・ウィー・フォール」と同じ布陣によるナンバー。アルバム本編の作品と比べてもまったく見劣りしない、クオリティの高いロック・チューンで、救いを求める切実な歌詞も印象深い。
14IF I'M NOT DREAMING
アルバム『リトル・エンジェル』の日本盤のみに収録されたボーナス・トラック。アルバム本編の中でもポジティヴな魅力が際立っていた「デイズ・オヴ・サマー」と同じ作家陣が名を連ねるだけに爽快な曲調だが、歌詞は助けを求める切実な内容となっている。