ミニ・レビュー
沢井一恵の重要なアルバム3点が同時に発売された。『現代邦楽の世界』は初CD化で、新たに細川と武満を加えている。『目と目』は、高橋鮎生プロデュースで、太田裕美やP.ハミルがヴォーカルで参加するなど、鮎生らしいジャンルを超えた作りになっている。『3つのダンス』は、4面のプリペアド箏を使った、アッと驚く画期的なアルバムとなっている。前衛作品が主だが、いずれも沢井の明確で鋭敏なリズム感や豊かな感受性が一音一音に込められ、熱気あふれる演奏で、十七絃箏の世界の深さと広さ、そして面白さが実感できる。★
ガイドコメント
十七絃箏を独奏楽器として確立し、その可能性を追求してきた沢井一恵の、1979年度芸術祭受賞公演のプログラムをそのままスタジオ録音した、記念すべき第1作。今回、武満と細川の作品を追加して初CD化となった。
収録曲
01十七絃と打楽器のための「漂う島」 (石井眞木)
02二十絃と十七絃のための「二つのファンタジー」 (入野義朗)
03十七絃独奏曲「いするぎ (石動)」 (杵屋正邦)
04独奏十七絃と箏群のための「焔 (ほむら)」 (沢井忠夫)
05十七絃箏曲「夜 (ノクチュルヌ)」 (細川俊夫)
06海へ (武満徹)
演奏
沢井一恵(十七絃箏) (1)吉原すみれ(PERC) (2)野坂恵子(二十絃箏) (6)中川昌三(FL) 他