ミニ・レビュー
デビュー13年目にして初となるベスト・アルバム。aiko自身がこれまでのキャリアを振り返り、選曲から曲順までとことんこだわり抜いた内容となっている。『オリコン』ランキングに20週連続でチャート・インした初期の大ヒット曲「花火」や、こちらも話題を集めた「カブトムシ」など全16曲を収録。
ガイドコメント
9枚のオリジナル・アルバム、27枚のシングルを発表してきたaikoの、キャリア初となるベスト・アルバム。「花火」「カブトムシ」「milk」などのシングルはもちろん、インディ時代に作った「れんげ畑」も収録。『まとめ2』も同時リリース。
収録曲
01milk
ホーンとピアノを中心に、スチャッスチャッという軽快なビートで進む25thシングル。ハネるリズムから受けるポップな印象とは裏腹に、歌詞は愛しい人を想う切ない内容。“心躍る世界”と引き換えにしてもあなたのそばにいられる世界がいいと力強く宣言する。
02花火
あなたを想う気持ちを“花火”にたとえた3rdシングル。本当は大好きなのに不安や葛藤に悩んだ挙句、自ら終止符を打つかのように“Bye Bye〜”とリフレインするラストが切ない。サウンド、メロディ、歌詞いずれもaiko節全開のポップ・チューンだ。
03赤いランプ
4thアルバム『秋 そばにいるよ』収録曲をリアレンジ。恋の終わりを“赤いランプ”にたとえ、後悔とともに振り返る歌詞が切ない。テンポを若干上げてよりエッジを効かせたサウンドに仕上がったことで、伸びやかなメロディが際立っている。
04カブトムシ
aikoの人気を決定的なものとしたバラード。恋をする自分を“カブトムシ”にたとえたユニークな表現が先行するが、描かれる情景は普遍的な恋模様。ラストに向けてドラマティックな広がりを見せる構成と伸びやかなメロディが心を打つ4thシングル。
05夢のダンス
5thアルバム『暁のラブレター』収録のミディアム・ナンバー。全編をとおして受けるポップな印象とは真逆の、“近くて遠い”あなたに向けた歌詞が印象的。叶わぬ想いを振り切るようなハネるリズムに乗せ、つぶれそうなほど切ない胸の内を歌い切る。
06二時頃
2ndシングル「ナキ・ムシ」にカップリングされた、失恋の痛みを綴ったミディアム・バラード。“少しでも好きだと思ってくれたかな?”と絞り出すように歌うラストが心を締め付ける。若々しさの残るヴォーカルが切なさをより増幅させている。
07シャッター
弾むようなピアノのイントロが印象的な7thアルバム『彼女』収録曲。“心のシャッター”を押して胸に刻んだ、切ない恋の思い出を綴る。素直になれなかった自分をただ悔いる前半から、後半では“今も元気でいますか?”と語る心境の変化を描く技量はさすが。
08瞳
友人の出産の際に書かれたというバラード。非シングル曲ながら花王「ハミング」CMソングに起用され、第57回紅白歌合戦でも披露された。ピアノとストリングスによる穏やかなサウンドに乗せ、新しい命とそれを見守る“あなた”の心情を優しく歌い上げる。
09蝶々結び
aikoの真骨頂ともいうべきポップなラヴ・ソングに仕上がった12thシングル。ホーンとストリングスを印象的に使ったキラキラとしたアレンジをバックに、“過去に出逢ったとしても二人は恋をしたね”と力強く伸びやかに歌い上げる。
10be master of life
力強いホーン・セクションに合わせ、“誰が何を言おうとあなたの味方”と宣言する3thアルバム『夏服』収録曲。バンド感あふれるサウンド・メイクはaikoならでは。強い女性を演じながら、“たまにはそばにいてほしい”とさりげなく漏らす姿も可愛らしい。
11飛行機
3rdアルバム『夏服』収録のミディアム・バラード。重く湿気を帯びたような弦アレンジが光るイントロから徐々に開放感を得るサウンド・メイクとは裏腹に、全編を通じてあなたを失くした後悔を綴る。“行かないで”とささやくように歌うラストが心をえぐる。
12気付かれないように
ピアノとギターのアルペジオが絡み合う吉俣良編曲のバラード。久しぶりに会ったあなたを忘れられない気持ちに“気付かれないように”振る舞い、そんな想いに“気付かないように”と自分にも言い聞かせる。切ない胸のうちをドラマティックなアレンジに乗せて歌い上げる。
13横顔
ストリングスによるイントロが爽やかな22thシングル。日本テレビ系ドラマ『ホタルノヒカリ』主題歌で、片思いをする女性の“躓いても止まらない”想いを描き出す。雨上がりを二人で歩く足音や偶然乗った助手席など、ささやかなエピソードを嬉しく語る姿がいじらしい。
14れんげ畑
インディ時代の楽曲のリアレンジ&フルサイズ・ヴァージョン。煌びやかなホーン・セクションが映えるビッグバンド風の味付けが新鮮。恋をしたときの楽しい気持ちを子どものようにストレートに表わした歌詞と大人びたアレンジが好対照だ。
15桜の時
鮮やかなピアノのバッキングで幕を開ける5thシングル。春をテーマにした楽曲にふさわしく、色彩豊かなサウンドをバックに初々しい二人の恋模様を女性ならではの視点で描き上げる。ラストで聴かれるフェイクはまさにaiko節。
16えりあし
14thシングルとなるドラマティックなバラード。ピアノを基調にしたアレンジと優しく語りかけるようなヴォーカルで、今も好きなあなたに向けて切ない胸のうちを綴る。“5年後あなたを見つけたら 背筋を伸ばして声をかけるね”と歌うラストは秀逸。
仕様
初回のみCD付内容:aikoのオールナイトニッポンCD vol.1初回限定スペサルBOX|カラートレイ