ミニ・レビュー
13年のキャリアで初となるベスト盤のパート2。「ジェット」や「愛の病」などの再録音をはじめ、「キラキラ」「KissHug」「シアワセ」などなど、aikoの人気曲が満載。少女から大人までさまざまな女性像を魅力的に描き出す手腕、aiko節ともいえるグッド・メロディにあらためて気づかされる一枚。
ガイドコメント
9枚のオリジナル・アルバム、27枚のシングルを発表してきたaikoの、キャリア初となるベスト・アルバム。「ボーイフレンド」「三国駅」といった代表的なシングルに加え、CD未収録の「mix juice」も収録。『まとめ1』も同時リリース。
収録曲
01ボーイフレンド
イントロのバンジョーが印象的なカントリー調の6thシングル。ハンド・クラップも交えた軽快なビートに乗せて、愛しい“ボーイフレンド”への想いを高らかにまっすぐと歌い上げる。飛び跳ねながら歌うaiko の姿が浮かんでくるような可愛らしいラヴ・ソングだ。
02アンドロメダ
グリコ「カフェオーレ」CMソング起用の13thシングル。うっすらとボヤけてきた目が何か大切なものも見逃してしまうのでは、と不安がる気持ちを綴る。aikoの特徴でもある、ポップなサウンドと儚げなメロディを持つミディアム・ナンバーだ。
03二人
切なくも爽やかなメロディが印象に残る23thシングル。鮮やかで疾走感のあるイントロから、“夢中になる前に解ってよかった”と一気に落とす歌い出しが秀逸。あなたの気持ちを探りつつ、自分の密かな想いに気づかれまいと装う心情を見事に描き出す。
04初恋
“泣き”のギターで幕を開けるバラード。ゆったりとしたビートをバックに、“まばたきするのが惜しい”ほど愛しくも一歩を踏み出せない心情を描く。伸びやかなメロディを情感豊かに歌い上げる、aikoがヴォーカリストとしての実力を見せつけた7thシングル。
05ナキ・ムシ
2ndシングルとなるミディアム・バラード。“あたしにとってあなたの全てが愛の味”と、苦しいほどに愛しいあなたへの気持ちを精一杯歌い上げる。鼻にかかったようなまだ少し若さの残る歌唱が、かえって不器用な恋心をストレートに伝えている。
06キラキラ
フジテレビ系ドラマ『がんばっていきまっしょい』主題歌起用の18thシングル。明るいメロディに乗せて切なげな歌詞を歌うaiko お得意のポップ・ナンバーだ。夏を想わせるようなパーカッションのアレンジが印象的。
07歌姫
1stアルバム『小さな丸い好日』収録のバラード。“がんばれ歌姫”と、aikoの歌詞には珍しく三人称(彼女=歌姫)を中心に描かれている。ピアノを基調とした全体的に抑えめなサウンドにより、悲痛な叫びにも似たヴォーカルが際立っている。
08愛の病
ギターとストリングスによるイントロが印象的な2ndアルバム『桜の木の下』収録曲。ベスト盤ではテンポも若干上がり、よりロック色の強いサウンドへリアレンジ。“明日あなたがいなくなって あさって心変わりして〜”と好きゆえに不安に駆られる正直な気持ちを歌う。
09かばん
ユニークなサビのアレンジが印象的な15thシングル。温かなサウンドをバックに、“大きなかばん”にも収まりきらないほどのあなたへの想いを、少し照れながらもまっすぐに伝えるポップなラヴ・ソングだ。随所で聴かせるフェイクに彼女らしさがあふれる。
10天の川
凛としたピアノから“首をすくめ恥じらえばそれは好きの印”と歌い始める導入が美しいバラード。目を閉じても浮かぶあなたが嬉しい、と愛しく想うあなたへの等身大の気持ちを伝える。サビの部分から使われるストリングスがドラマティックに響く。
11KissHug
映画『花より男子F』挿入歌に起用の24thシングル。美しいピアノのアルペジオに引き込まれるように始まるバラードで、夏の終わりを想わせるアレンジと儚く切ないメロディを真っ直ぐに歌い上げるヴォーカルに心をつかまれる。
12帽子と水着と水平線
12thシングル「蝶々結び」のカップリング曲。ベスト盤『まとめ2』ではテンポを上げ、ダイナミズムに富んだアレンジに仕上がっている。“赤い帽子”“水着の跡”“青の水平線”といった色彩感覚豊かな言葉とともに、恋の始まりを楽しげに綴るセンスはさすが。
13mix juice
ライヴではメドレー・スタイルでたびたび披露されてきた定番のファンク・ナンバー。パキパキのホーン・セクションと走り出すようなビートに合わせ、畳み掛けるように早口のヴォーカルを乗せる。カズーによるソロを披露するなど“元気なaiko”のイメージにぴったり。
14ジェット
aikoの優れたポップ・センス全開のロック・チューン。1stアルバム『小さな丸い好日』収録曲で、ベスト盤では高い推進力はそのままのより力強いアレンジをバックに、“二人でいればきっと飛べる”と高らかに歌う。“はねたうしろ髪が羽だから”のフレーズが印象的。
15シアワセ
ハネたリズムにのせたポップなラヴ・ソング。“見上げたら喉が愛しかった”という彼女らしい表現を交えつつ、やがて訪れるかもしれない別れの影を感じながらも今の“シアワセ”を噛み締めるように歌う。キラキラとしたサビから急にシリアスになる間奏など、アレンジも秀逸。
16三国駅
自身が青春時代に過ごした街をモチーフに綴った切ないバラード。“毎日が昨日のようだった”はずなのに、あなたと離れることにおびえ焦っていた過去を思い出すようにゆったりと歌う。ピアノとストリングスを配した吉俣良の編曲が映える。
仕様
初回のみCD付内容:aikoのオールナイトニッポンCD vol.2初回限定スペサルBOX|カラートレイ