ミニ・レビュー
『GUILTY』と同時リリースとなる11枚目のアルバム。90年代オルタナティヴ・ロックのテイストを感じさせるJIRO作曲の「WHO KILLED MY DIVA」、ヘヴィなギター・サウンドを軸にしたHISASHI作曲のシングル「JUSTICE[FROM]GUILTY」をはじめ、セルフ・プロデュースならではの楽曲が並ぶ。
ガイドコメント
2013年1月23日リリースの11thアルバムで12th『GUILTY』と同時発表作。初のセルフ・プロデュース作で「JUSTICE [FROM]GUILTY」「運命論」を含む全10曲を収録。GLAYの新たなサウンドが凝縮された一枚だ。
収録曲
01WHO KILLED MY DIVA
アメリカンな泥臭いテイストを中心にしつつ、要所にテクニカルなギミックを散りばめたJIRO作曲のロック・ナンバー。“とりあえずツブヤク”“とりあえず Make Love”など、若い世代への風刺を盛り込んだ歌詞も痛快だ。
02ROUTE 5 BAYSHORE LINE (album ver.)
冒頭で登場する“阪神高速5号湾岸線”をはじめ、“FM802”“USJ”など大阪ならではのフレーズが多く盛り込まれたミディアム・テンポのロック・チューン。友人の彼女に抱く淡い恋心を描くが、どこか晴れやかなサウンドが印象的だ。
03PARADISE LOST
力強く突き進むドラムに呼応するように、各パートが攻撃的なアプローチで仕掛けるアップ・チューン。ジョン・ミルトンの叙事詩『失楽園』の原題でもあるタイトルを冠しており、“恋に不埒な二人”を描いた歌詞の世界もピッタリだ。
04LOVE IMPOSSIBLE
かすかにファンクのテイストもはらんだ16ビートのアグレッシヴなナンバー。想いが届くことのなかった切ない恋物語を、女性目線の色っぽい言葉を並べて描き出す。唐突に歌詞のテイストが変わり、スパッと終わるラストがユニーク。
05真昼の月の静けさに
映画『草原の椅子』主題歌。アコースティク・ギターとピアノによる幕開けからサビでバンド・サウンドへと突入するGLAYの王道パターンともいえる壮大なバラードで、TERUのエモーショナルな歌声が胸を打つ。
06gestalt
11thアルバム『JUSTICE』中盤に配されたインストゥルメンタル。永井誠一郎が編曲を手がけた厳かなストリングスからはじまり、重厚にしてシリアスな世界を構築。大作映画の幕開けのような、予感に満ちた仕上がりだ。
07JUSTICE[FROM]GUILTY (album ver.)
46thシングルは、凛として時雨のピエール中野がドラムで参加したロック・ナンバー。中盤で唐突に転調、そこからまた元に戻るというトリッキーな展開が特徴的だ。映画の脚本のように風景を断片的に切り取った歌詞が、曲にストーリー性を与えている。
08傷だらけの太陽
凛として時雨のピエール中野がドラムで参加したロック・チューン。背中を押してくれるような力強い言葉が並び、思わず拳を突き上げてシンガロングしたくなる“WOW〜”のフレーズが印象的だ。中盤のギター・バトルもスリリング。
09運命論
凛として時雨のピエール中野がドラムで参加した47thシングル。“生きる”という壮大なテーマを軸にした詩的な趣きも感じさせるTAKUROの言葉を、JIROのおおらかなメロディで包み込んだミディアム・ナンバーだ。どこか不穏なアウトロが肝。
10SMILE
ゴミ箱を叩いてリズムを生み出すなど、路地裏でのセッションのようなナンバー。“放射性物質(じゅうこう)”“尖閣諸島(うみ)”など、ルビを用いた直接的な言葉が並ぶ。願いが込もった“せめてスマイル…”のリフレインが感動的。