ミニ・レビュー
97年のリリース時、3日間で70万枚という史上最速のセールスを記録してチャート1位に輝き、全世界で800万枚を売り上げた3枚目のリマスター盤。「スタンド・バイ・ミー」「オール・アラウンド・ザ・ワールド」など、オアシスらしい雄大なメロディのアンセムが揃った、バンドの勢いが伝わる力作。
ガイドコメント
オアシスが世界的バンドになるまでの93〜97年を振り返るプロジェクト“チェイシング・ザ・サン”シリーズの第3弾は、3rdアルバムの『ビィ・ヒア・ナウ』。70万枚を記録した日本で一番売れたオアシスのアルバムがリマスタリング音源で楽しめる。
収録曲
01D'YOU KNOW WHAT I MEAN?
ノエルとプロデューサーのオーウェン・モリスがマスティク島で録音したデモ・ヴァージョン。セスナ機のようなエンジン音からスタートし、奇妙な電子音、妖艶なエフェクトがかかったギターなどオリジナル・ヴァージョンと比較するとよりサイケな楽曲になっている。
02MY BIG MOUTH
ノエルとプロデューサーのオーウェン・モリスがマスティク島で録音したデモ・ヴァージョン。オリジナルに比べると音圧は弱いが、ノエルのぶっきらぼうで傲慢さを感じさせるヴォーカルが“ビッグ・マウス”について歌った楽曲にあっている。
03MAGIC PIE
ドリーミーなメロディとメロトロンの浮遊感がサイケデリックなバラード。“オレだって以前はあんな通行人だったんだ”と綴られた歌詞は、成功を成し遂げた自身のことを指しているかのよう。アウトロはジャズに変貌を遂げるプログレッシヴなアレンジ。
04STAND BY ME
ノエルとプロデューサーのオーウェン・モリスがマスティク島で録音したデモ・ヴァージョン。ギターリフやベースラインなどほぼオリジナルに近い展開だが、オリジナルよりもマラカスの音が前面に出ていてリズミカルな印象を受ける。
05I HOPE, I THINK, I KNOW
ノエルとプロデューサーのオーウェン・モリスがマスティク島で録音したデモ・ヴァージョン。オリジナルでヴォーカルを取るリアムに比べ、ノエルの乾いた歌声は楽曲に男らしさを呼び込んでいる。ガレージロックのように聴こえる骨太なロック・ナンバーだ。
06THE GIRL IN THE DIRTY SHIRT
ノエルとプロデューサーのオーウェン・モリスがマスティク島で録音したデモ・ヴァージョン。オリジナルにあった厚い音の層は抑えられているが、“微笑んでおくれ さぁ今すぐに”とキザなセリフが綴られたサビのメロディが美しい。
07FADE IN - OUT
ノエルとプロデューサーのオーウェン・モリスがマスティク島で録音したデモ・ヴァージョン。オリジナルで効果的に使われているスライドギターは抑え気味だが、ブルージィな雰囲気と男臭さはそのまま保たれている。
08DON'T GO AWAY
通算16枚目のシングルのデモ・ヴァージョン。ひずんだギターに乗せ“ずっとそこにいると言ってくれ”と弱さをみせた歌詞を綴ったメランコリックな一曲だ。ノエル節が炸裂したコード展開とトレモロの揺れが心地よい。
09BE HERE NOW
アルバム・タイトル曲。トイピアノの音をスロー・ダウンさせた奇怪な鍵盤音からスタートし、ストーンズの「ホンキー・トンク・ウーマン」のようなブルージィな展開に。“生まれた日から嵐を巻き起こしてきたオレ”と石原裕次郎ばりの“嵐を呼ぶ男”っぷりを語っている。
10ALL AROUND THE WORLD
通算15枚目にして4作目となる全英1位を記録したシングルのデモ・ヴァージョン。オリジナルにあったストリングスは削られているが、バーズ〜ストーン・ローゼズなどの影響を感じさせる美しく秀逸なメロディは健在。
11IT'S GETTIN' BETTER (MAN!!)
ノエルとプロデューサーのオーウェン・モリスがマスティク島で録音したデモ・ヴァージョン。オリジナルよりも音数が少なく、それぞれの楽器の音の動きが良くわかるアレンジ。ノエルのラフな歌い方も楽曲にはまっている。
12ALL AROUND THE WORLD
シングル「オール・アラウンド・ザ・ワールド」をアレンジしたインスト曲。オリジナルのサビ部分が持っている崇高な高揚感をホーンで見事にアレンジし、最後はドアが閉まる音で終わるというオチもオシャレに決まっている。
13ALL AROUND THE WORLD
シングル「オール・アラウンド・ザ・ワールド」のデモ・ヴァージョンにして日本盤のボーナス・トラック。アコースティック・ギター一本で演奏されており、オリジナルよりも切なさが漂うヴァージョンに仕上がっている。