
リビング・ステレオで一時代を築いた米RCAの録音スタッフが60年にローマ歌劇場へ赴いて制作したアリア集のSA-CD化である。世界を席巻し始めた美貌の歌姫アンナ・モッフォは当時28歳。シルキーな肌触りの若々しい美声を収めた臨場感豊かな録音に舌鼓を打つ。★

合衆国で今なお20世紀最大の歌姫と讃えられるプライス全盛期の歌唱。現代の耳で冷静に聴くと、音程の甘さや低音のヴィブラートが気になるが、SA-CD化により、劇場に凛と響いて聴衆の魂を震わせたという声のプレゼンスをスピーカーの奥に感じ取ることができる。

50年代から60年代にかけてメトロポリタン・オペラで活躍したアメリカ人歌手たちによる豪華な「椿姫」。そのスケールの大きな表現は、まさに声の饗宴であり、これこそオペラという感じ。極め付けの声によるエンターテインメントである。

何といってもメリルとビョルリンクのすばらしさ。バリバリに脂がのっていた時期だけに、声のパワーに圧倒されてしまう。ジルダ役のピータースが古いタイプのコロラトゥーラにこだわっているという評価もあるが、それも個性。50年代の貴重な財産だ。