
85年、“ノン・スタンダード”レーベル時代のピチカート・ファイヴの全貌といえる一枚。再CD化に際して小西康陽がリマスターに立ち会い、ライナーノーツも担当。さらに3種の初出トラックが追加収録されている。初代ヴォーカリスト、佐々木麻美子の歌声がこのうえなく美しい。

田島貴男ヴォーカル時代の名作にしてセカンド(88年発表)がリマスタリングされCD化。現代のディスコ〜ニュー・ソウル再評価を先取りしていたようなフレッシュでふくよかなブルーアイドソウル〜AORポップは恐ろしいほど斬新。田島のヴォーカルがまだあどけないのが微笑ましい。

記念すべきファーストの高音質再発。やや拙くもコケティッシュな佐々木麻美子のヴォーカルとストリングスなどを華やかに使ったアレンジは、やっぱり正解だったのだと思う。約30年の時を経たって、こんなにウキウキして聴けるのだから! 監修・リマスタリングは小西康陽、ライナーはカジヒデキ。★

T-Palette Records所属のアイドル5組がピチカート・ファイヴの曲をカヴァーする企画盤で、総合プロデュースは小西康陽。アイドルネッサンス、lyrical school、ワンリルキス、Negiccoも瑞々しい歌唱を聴かせるが、「私のすべて」などをカヴァーしたバニラビーンズのハマり具合がさすが。

ソニー時代を総括するベスト・アルバム2枚組。目玉はライヴ音源(「サティスファクション」のカヴァーまで!)を収めたDisc-2。スカスカだけど、気恥ずかしくなるほどキラキラなワンダフル・ワールド。小西、高浪のほか、田島貴男によるライナーノーツにもニヤニヤ。

Sunaga't Experienceとしても活躍中の須永辰緒によるリミックス集。スノッブでありながらも息苦しいまでの空間に閉ざされた元ネタが、逆にメロデイ・センスの素晴らしさを浮き彫りにするミックスへと開かれる様はまさに“あっぱれ”の一言。

今世紀はこれにて打ち止めというピチカートの新譜。今回はスケッチブック仕様の凝りジャケ。膨大なミュージシャンを惜しげもなく投入して作り上げられた完璧なピチカート世界。偉大なるマンネリズム。ニューオーリンズな(12)で終わるセンスがスゲェ。

クラブ対応OKなJBL maxisonic seriesの第2弾は、夏向けなブライト・ヴォーカル・チューン。ピチカートらしい夏を演出してくれるノン・ストップe.p.だ。野宮真貴の歌声って湿度がゼロなんだよな、と改めて実感できる。素敵なバカンスをどうぞ。

11分にもおよぶ(1)。ミッシェル・ポルナレフの名曲をハッピー・チャームにカヴァーした(3)。小西さんらしい遊び心が随所に仕掛けられたダンサブルな五つのトラックはどれも彼のDJモードが音に見事に反映されたものばかりだ。魅惑のディスコティック。

ピチカートの新作は、前回がクラブ対応の作品だったのに対し、今回は秋冬モードの小洒落たサロンぽい内容。小西康陽の代わりに歌うゲスト陣も面白いし、彼のプレイボーイ&プレイガールへのエゴだらけのイメージが反映された私情あふれる一枚。

メロコア・バンドによるピチカートへのトリビュート・アルバムみたいな、バンド・スタイルによるセッション作。ドラムに元ゴーバンズの斎藤光子を配し、リハーサルを重ねずに録音したであろう荒っぽさがポイント。でもマキさんの声はやっぱりクール。

ギターのヴィンテージ・エフェクター、バイ・フェイズを模したジャケット・デザインと冒頭からいきなり飛び出す小川哲哉(本人?)と野宮真貴の歌謡ベストテン・トークで、もう技アリ! って感じのリミックス盤。大技の前に肝心のリミックスネタもかすみ気味。

カタカナ表記のピチカートのファースト・アルバムのカラオケ集。当時小西氏が「アルバムではサンドパイパーズをやります」と笑っていたのを思い出す。最近やっと見直され始めた、完璧なA&Mサウンドだ。ソフト・ロック・ファンならじっくり聴きこめ。

新聞告知にあった通り、(6)の収録曲は「アパートの鍵」ですのでよろしく。ソニー時代のピチカート・ファイヴのベスト。ライナーで小西康陽氏が書いている通り、ピチカートの成長記録なのです。その一方でコアな部分の頑固さも痛感。着せ換え紙ケース付。

大人気テレビ番組「ウゴウゴ・ルーガ」のサウンドトラックは、サンプリングとターンテーブルを導入したグルーヴィーなクラブ系サウンド。ヒット曲(3)はリミックスで収録、野宮真貴とウゴウゴくん&ルーガちゃんがしりとりをする(5)も楽しい。

5月からつづいていた月刊リリース体制もこれにて打ち止め。真打ちフルアルバムの登場。多種多様なサンプリングを駆使した短期集中型の音作りは、さながら雑誌かFM番組。早い、安い、うまいの3拍子。曲がいいわぁ、やっぱし。…で、次は、どうする!?

何がなんだか、超高速でアルバムを放ち続けるピチカートである。(3)では雑誌IDでのインタビュー風景、(5)では沼田元気による前衛的な朗読、と実験的なことをなかなかやってくれてます。小西康陽の命尽きないドト〜のプロデュース精神には全くマイる!

セヴンゴッズレコード社長、麻田浩のあいさつで幕をあけるピチカート・ファイヴの月刊リリース第2弾。小西康陽の淫靡なインタビュー、(3)や映画、ドラマのセリフをクレイジーにコラージュした爆笑ものの(4)など、かなりキメてる。ノッてるな! ピチカート。

全23曲というこれでもか攻撃。それだけでまず圧倒させる。個性と個性が対決してバンドの個性が立方体に水を注ぐがごとく膨大な量にそのカサを増す、そんな1枚だ。田島貴男の脱退皮を直前にして、相変わらずヘンな気にさすピチカートだった。

シングル中心に構成されたベスト・アルバム。元来編集と再構築で成立している彼らの曲を、もう一度別アルバムとして編集し、再構築するという行為は、ピチカートにもっとも似合う。こういう内容のオリジナル・アルバムでもおかしくない自然な流れで聴ける。

市川崑の映画『黒い十人の女』が36年ぶりに再映されることになったのを記念し、岸田今日子のナレーションをフィーチャーして制作されたシングル。宇宙旅行のための壮大なトリップ・ナンバーとなった(3)はメディテイション効果も絶大だ。宇宙へGO!

最近のピチカート・ファイヴのアルバムにはまるでシングルのようなスパッとしたいさぎよさがある。小西氏の強烈な構成力の成せるワザだ。ドラムン・ベースを取り入れた曲や、洒落た小品までのこな水準の高さはさすが。ここ数年のうちの最高傑作と断言できる。

ピチカート・ファイヴのレア・アイテムを集めたアルバムで、小西康陽の解説付き。いやぁ、マニアックもここまでくればエンターテインメント! 嬉々として音楽で遊び、嬉々としてそれを解説する小西の様子が目に浮かぶ。けっこうポップで、楽しい。

85年に初期ピチカートがリリースした2枚の12インチ・シングルをジャケットごと復刻したもの。“シネ・テクノ”でコンパクトな魅力でいっぱいの初期ピチカートは、野宮真貴時代しか知らないファンにもぜひ聴いてもらいたい。すべてのピチカートの要素はここにあるから。

ワールド・ツアーも好調なピチカート96年型ニューモデル。適材適所のゲスト陣、野宮真貴の円熟した唄をコントロールする小西のプロデューサーとしての好調ぶりが発揮されている。自分たちも含めすべてを等価値におくDJとしてのセンスは比類なし。

CBS・ソニーから日本コロムビアへ移籍以降、大量のリリース攻勢を仕掛けていたピチカート・ファイブの、初のベスト盤。ヴォーカルが野宮真貴に変わってからの集大成的な内容となっており、クラブ・ユースと一般レベルの両者に対応可。(9)はコーネリアス・ライヴで録音。

グルーピーとスターダムとヒップとオーバードーズ。今回のピチカートは“最新型のロック”な仕上がり。グルーピーとしての栄光を回顧する(7)の宇野淑子さんのナレーションは、NHKの海外ドラマしててサイコーです。やっぱロックは本気の冗談だな。

彼らの作品を、外部の手に委ねてリミックスしたアルバム。もちろん彼らが評価する人々に委ねたわけだが、いわば今回はまな板の上の鯉状態で、彼ら自身、特に小西が、どんなものになるかを楽しんだ作品ともいえそう。それぞれに個性が出ていると思う。

遂に時代が追いついたか、怒涛の勢いでノリまくるピチカートの最新作。この作品で野宮真貴が初めて小西康陽の頭脳プロデュースを超え、彼女自身がピチカートそのものとなった気がする。スノッブに完璧さを追求するエンターテイント・ライヴは必見です!!

昨年12月のクリスマス・コンサート“メリー・ピチカート”での音源で構成した初のライヴ盤。デビュー曲(2)や(6)(8)などのかつての代表作から新生ピチカートの真貴ちゃんのテーマ(7)や(10)までラテン〜ソウル風味を増したゴージャスなアレンジで楽しめる。

野宮真貴のアイドル性とギミックに満ち満ちたポップ指向が見事に共鳴したお洒落なポップスを展開するピチカートの新作。コズミックなイメージが気持ちいいソウル〜ハウス的なビートと、キャッチーで下世話なファンキーなサウンドが堪能できる。

ピチカートがノン・スタンダードで録音した作品の集大成。(1)(4)(7)はリミックス、(3)(5)は未発表の新曲、(8)は新エディット。アメリカン・ポップスのチャーミングさをテクノの手法でシミュレートした“ニッポンのポップス”。(1)はP・サイモンの名曲。

正統派のポップ(文化としての)感覚をこれほどオモチャにしているアルバムは久しぶりだ。ジャケットから曲名、曲の背景に垣間見せるポップ性は、ある種の教養主義的でさえある。聴き手のセンスとマス・メディア文化への教養と遊び感覚を選別する。

新しいヴォーカリストとしてオリジナル・ラヴの田島貴男が加入してフィクショナルなソウル・ミュージックに敢然と取り組んだ2枚目のフル・アルバム。メンバー・チェンジから生まれた新鮮な緊張感とスウィートなメロディーの融合した色彩感が見事。

ファースト・フル・アルバム。A&M系のエバーグリーン・サウンドを見事に再現したハイ・センスのシティ・ポップス。ロジャー・ニコルスのスモール・サークル・オブ・フレンズの現代版(わかるかなあ?)。持っているだけで嬉しくなるような必聴盤。