ガイドコメント
サンタナの1970年発表の2ndアルバム。躍動するラテンのリズムとサンタナの泣きのギターが見事な調和をみせている。70年4月18日にロイヤル・アルバート・ホールにて収録されたライヴ音源3曲も、未発表ボーナス・トラックとして収録。
収録曲
01SINGING WINDS, CRYING BEASTS
ローリーのエレクトリック・ピアノをフィーチャーしたカラベロ作のインストゥルメンタル曲。エレクトリック・ギターが野獣のごとく咆哮し、ウィンドチャイムの響きが風の歌を象徴している。サイケデリックなエフェクトも目立つが、自然な感触がサンタナらしい。
02BLACK MAGIC WOMAN|GYPSY QUEEN
フリートウッド・マックとザザール・ガボを合体させたミニ組曲。ローリーのセクシーな歌声が魅力的な前半は全米4位のヒット曲となったが、サンタナの本領は後半にある。シュリーヴの秀逸なフィルインに続くチェピートのティンバレス・ソロが素晴らしい。
03OYE COMO VA
ラテン音楽の王様ティト・ブエンテの名曲。ゲスト・ヴォーカルにリコ・レジェスを迎えて、オリジナル曲にほぼ忠実なカヴァー・ヴァージョンを披露している。「ブラック・マジック・ウーマン」にも匹敵する初期サンタナの有名曲。全米チャート13位のヒットを記録。
04INCIDENT AT NESHABUR
ハイチの黒人解放のための戦いをイメージして作られたアルベルト・ジアンキントとカルロスとの共作曲。マンボ、ハチロク、ワルツ……とリズム・チェンジを繰り返すインストゥルメンタル曲。ピアノとオルガンも好演だが、やはりカルロスのギター・ソロが秀逸。
05SE A CABO
マンボとメレンゲを合体させたチェピートの曲。歌は“Se a cabo”(終わり)を繰り返すだけだから、ほとんどインストゥルメンタル。カルロスのギター・ソロも強力だが、何といってもチェピートの達人的なティンバレス・ソロが圧巻。脇役カラベロのコンガも光る。
06MOTHER'S DAUGHTER
ローリー主導によるR&B調の曲。ローリーのヴォーカルをフィーチャーしたもので、当時の一般的なロック・ファンには最も理解しやすいタイプのラテン・ロック・サウンドが聴ける。このレベルでは満足できないカルロスとローリーとの確執を予感させる曲のひとつ。
07SAMBA PA TI
カルロスのリリカルなギター・ソロをフィーチャーしたインストゥルメンタル曲。抑制されたラテン系のリズムをバックに、当時のカルロスが愛用していたギブソンSGスペシャルが甘くせつない音色で情感たっぷりに歌いまくる。日本では最も人気のある曲のひとつ。
08HOPE YOU'RE FEELING BETTER
ローリー主導によるハード・ロッキンな曲。サンタナ版アメリカン・ハード・ロックとも言えないことはない。ローリーがサンタナ脱退後に結成したジャーニーに継承されたサウンド。サンタナにしてはリズムが大味すぎるものの、これはこれでカッコいい。
09EL NICOYA
キューバのストリート・ミュージック、ルンバワワンコーを再現したチェピートの曲。ラテン・パーカッション、ギター、コーラスのみで演奏されている。「叩け、チェピート」というコーラスに鼓舞されたチェピートがコンガとティンバレスのソロを披露する。
10SE A CABO
1970年4月18日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ録音。マンボとメレンゲを合体させたチェピートの曲。オリジナル・ヴァージョンではチェピートのティバレス・ソロのパートでカラベロとのツイン・コンガ・アンサンブルを披露している。
11TOUSSAINT L'OVERTURE
1970年4月18日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ録音。次作『サンタナIII』に収録される初期の名曲。アフロ・キューバン・リズムをフィーチャーしたサンタナならではの躍動感あふれるパーカッション・アンサンブルが堪能できる。
12BLACK MAGIC WOMAN|GYPSY QUEEN
1970年4月18日、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ録音。フリートウッド・マックとザザール・ガボを合体させたミニ組曲。前半のラテン系ブルース・ロックから後半のマンボ調インストゥルメンタル・パートへと雪崩れ込む展開がカッコいい。