収録曲
01PEOPLE HAVE THE POWER
パワフルなロック・サウンドに乗って力強く歌われる“庶民”讃歌。ヒッピー的夢想に過ぎない、と批判する声もあったが、忘れられつつあった真実を再確認することにはそれだけで充分に意義がある。8年ぶりのパティの復活にふさわしい強力なロック・チューン。
02UP THERE DOWN THERE
ミディアム・アップのロック・サウンドをバックに歌われる“あちら”と“こちら”についての曲。ビート詩人仕様のポエトリー・リーディングがフィーチャーされ、パティの眼から見たこの世界の現状が描かれている。とりわけ最後の“communion”の一節はパティらしい。
03PATHS THAT CROSS
盟友ロバート・メイプルソープを支援した美術コレクターで、88年1月に死去した友人サム・ワグスタッフに捧げられた曲。パティにとっての死は決して終焉ではなく、旅の継続を意味している。死を再生のための儀式として美しく描いた感動的なバラード。
04DREAM OF LIFE
最愛の夫フレッド“ソニック”スミスに捧げられたラブ・ソング。抑制されたギター・バンド・サウンドをバックに、フレッドとともに生きることの素晴らしさが歌われている。穏やかに表現された“人生の夢”がパティとフレッドとの静かな生活を象徴しているようだ。
05WHERE DUTY CALLS
中近東を舞台にした政治的な問題に触発されて書かれた曲。中近東風味のエキゾチックなサウンドをバックに、レバノンで起こった事件の顛末が詩的に、しかしリアルに歌われている。パティによって物語化された歌詞は直接的なメッセージ以上にパワフル。
06GOING UNDER
ロマンティックなバンド・サウンドをバックに、パティならではの詩の世界が展開される美しいバラード。歌詞、メロディ、サウンドが見事に一体化した名曲。ポエトリー・リーディングのパートも含めて、表現者としての彼女の才能と実力を改めて思い知らせてくれる。
07LOOKING FOR YOU (I WAS)
1960年代ガール・グループを思わせるチャーミングなコーラスをフィーチャーした80年代仕様のパワフルなポップ・ソング。ヨーロッパを舞台にした歌詞にはシェイクスピアが登場するが、ランボーやジュネらの足跡をも感じさせる文学的な異国情緒がパティらしい。
08THE JACKSON SONG
当時5歳の愛息ジャクソンに捧げられた子守唄。『ウェイヴ』収録の子守唄「ヒム」を進化させたようなパティ流セイクレッド・ソングでもある。我が子にやさしく語りかけるパティの歌声はとても美しいが、時を超えて普遍へと到達するパワフルな力をも秘めている。
09AS THE NIGHT GOES BY
96年まで未発表だった『ドリーム・オブ・ライフ』のアウト・テイク。アコギをフィーチャーしたアンプラグド仕様のシンプルなサウンドをバックに歌われるカリプソ風味の“夜”の讃歌。カリビアンなフィーリングが心地よい。
10WILD LEAVES
シングル「ピープル・ハヴ・ザ・パワー」のB面収録曲。螺旋を描くようなキーボード主体のサウンドをバックに歌われるバラード。自分自身に語りかけているかのようなパティ流セイクレッド・ソングでもある。“野生の木の葉”が象徴しているのは私たちの人生だろうか。