ガイドコメント
80年発表。モニター画面から映るメンバーの顔をコラージュしたようなジャケはテクノロジーの時代を意識した雰囲気。そんな時代でもロックは君たちをレスキューというような若さがみなぎる。
収録曲
01DANCE
02SUMMER ROMANCE
ハイ・テンポのストレートなロックンロール・ナンバー。50年代の古き良き時代のロカビリーと現代的なロックの要素を掛け合わせた痛快なサウンドが魅力。若返ったかのような勢いで走り抜けるミックのヴォーカル、そしてキースとロニーの小ワザのきいたツイン・ギターの絡みもスリリングで楽しい。
03SEND IT TO ME
ミックとキースの共作による、ミディアム・テンポのダンサブルなレゲエ・ナンバー。間のび寸前のサウンドの中でキラリと光る荒削りのギターがストーンズらしいところ。パーカッシヴな気持ちのいいリズムの渦を背に、ミックのヴォーカルはどこか浮遊感を漂わせながらノビノビとした印象を与える。レゲエを消化する彼らの雑食性が興味深い作品。
04LET ME GO
アップ・テンポの軽快なロックンロール・チューン。この手のストーンズ・ナンバーでは、キースが生む絶妙のギター・ワークに常に耳を奪われる。シンプルな構成の楽曲でも、奥の深いバンド・サウンドを楽しませてくれるあたりはいかにも彼ららしい。“俺を自由にしてくれ!”とシャウトするミックはなぜか微笑ましくもある。
05INDIAN GIRL
アメリカ南部音楽の影響を色濃く感じさせるカントリー調のミディアム・ロック。アコースティックを基調としながらも、ロニーのペダル・スティール・ギターやブラス(アレンジはジャック・ニッチェ)を導入するなどサウンドは多彩。切ないメロディをもったハートフルな好楽曲だ。強烈な存在感を示すミックのヴォーカルはやっぱりスゴイ。
06WHERE THE BOYS GO
ビートのきいたハイ・テンポのロック・ナンバー。独特のうねりを生むビルのベースと情熱を内に秘めたチャーリーのドラムがリズムを刻み、その上をきわめて動的なキースとロニーのギターが飛び回る構図。ミックのアグレッシヴなヴォーカルが楽曲のハードな一面を際立たせている。終盤の女性コーラスを含めた盛り上がりはじつににぎやか。
07DOWN IN THE HOLE
ミックとキースの共作によるヘヴィなスロー・ブルース。冒頭からシュガー・ブルーのブルース・ハープが濃厚な空間を演出、乾いたギター・サウンドが情念的なフレーズを繰り返す。力強くシャウトするミックのヴォーカルは、鬼気せまる迫力を携え圧倒的な光彩を放つ。内省的なブルースだが、バンドとしてのまとまり感は群を抜いて素晴らしい。
08EMOTIONAL RESCUE
80年に発表されたアルバムの表題曲かつシングル・カットされたナンバー。実験的なディスコ風サウンドもさることながら、なんといってもミックのファルセットを多用したヴォーカルで有名。跳ねるリズムを強調したこれまでにないポップな音楽性は、ストーンズ・ファンの間で賛否両論を呼んだ。突如表われるボビー・キーズのサックスが最高!
09SHE'S SO COLD
スピーディに迫るミディアム・アップのロック・チューン。シンプルな構成の中で耳をとらえるのは、やはりキースとロニーのギターの絡み。両者が全編でスリリングな掛け合いを演じ、ミックの熱いヴォーカルがそこに交わるといった展開。発表当時(80年)のシーンを反映し、ダンサブルな要素も巧みに取り入れられている。
10ALL ABOUT YOU
アルバム『エモーショナル・レスキュー』(80年)のラストに収録されている曲で、キースがヴォーカルをとるスロー・バラード。いささか頼りなく聴こえるところがなぜか魅力となるキース節が炸裂。優しくゆったりとしたムードの中、聴き手を安堵へと誘う枯れたヴォーカルに胸を打たれる。ピアノもキース自身のプレイ。