ガイドコメント
英国で80年12月にリリースされた、クイーン初の本格的な映画サウンドトラック。印象的な主題歌をはじめ多彩な楽曲が次々に展開され、ストーリー性を重視した彼らの面目躍如と言える傑作だ。
収録曲
01FLASH'S THEME
ブライアン主導による映画『フラッシュ・ゴードン』のテーマ曲。ロジャーの高音コーラスをフィーチャーしたもので、初期クイーンを思わせる劇的なサウンドが楽しめる。映画の一場面やSEを挿入した臨場感あふれるヴァージョン。
02IN THE SPACE CAPSULE (The Love Theme)
ロジャー主導の“愛のテーマ”はシンセサイザーを駆使したインストゥルメンタル曲。映画では惑星ミンゴに向かって宇宙を旅するシーンで使われている。映画のためのサウンドトラックなので、多分に描写的かつ説明的。
03MING'S THEME (in the Court of Ming the Merciless)
登場人物の悪役っぷりがピカイチの「デス・オン・トゥ・レッグス」を作曲した、フレディ主導による「ミン皇帝のテーマ」。シンセサイザーの重低音を使った不気味なサウンドでミン皇帝の残虐性を表現した、フレディらしい1曲。
04THE RING (hypnotic seduction of Dale)
「ミン皇帝のテーマ」のメロディを発展させた小品。ミン皇帝の不思議な指輪の魔力を象徴するようなシンセサイザーのメタリックなサウンド。そんなシンセの金属的な高音がまだ宇宙的/神秘的だと感じられた1980年の産物。
05FOOTBALL FIGHT
シンセサイザーとエレキ・ギターがシンプルなメロディを奏でるロック調のインストゥルメンタル曲。フレディ作曲にしては単純なメロディだが、フットボールを応用した派手な戦闘シーンのサントラに使用されたため、複雑なメロディでは戦い難いと思ったのか。
06IN THE DEATH CELL (Love Theme reprise)
ロジャーの「愛のテーマ」のモチーフを使った変奏曲。シンセサイザーがサスペンスフルなサウンドを奏でる。映画ではミン皇帝に捕らえられたフラッシュが、牢獄に入れられ処刑台に連行される場面で使われている。
07EXECUTION OF FLASH
フラッシュの処刑の場面で観客の不安感を掻き立てるエレクトリック・ギターの音色と背後のシンセサイザーのサウンド。さらにそれを煽るような鐘の音とストリングスが続く。ジョンが書いたインストゥルメンタル曲。
08THE KISS (Aura resurrects Flash)
ファルセット・ヴォーカルとストリングス・シンセサイザーが奏でる官能的なメロディ。ミン皇帝の娘、オーラ王女のキスでフラッシュが蘇るシーンで使われる。フレディならではのエロティックなサウンドが楽しめる。
09ARBORIA (Planet of the Tree Men)
シンセサイザーが奏でるメロディはとてもシンプルだが、謎や不安をはらんだ異世界の雰囲気を巧く表現している。ジョンが書いた、単純だが深いメロディ。フラッシュとオーラ王女が森の中へと逃れてくる場面で使われている。
10ESCAPE FROM THE SWAMP
ティンパニーとシンセサイザーを駆使した、ダイナミックなインストゥルメンタル曲。フラッシュが沼地から脱出する場面で使われた。当時のライヴでもティンパニーを叩いていたロジャーの曲であることは言うまでもない。
11FLASH TO THE RESCUE
ブライアンの「フラッシュのテーマ」のモチーフを使った変奏曲。ミン皇帝に捕らえられたデイルらを助けるためにフラッシュが救出に向かうシーンで使われた、シンセサイザー主体のインストゥルメンタル曲。
12VULTAN'S THEME (Attack of the Hawk Men)
タムの連打によるリズムの上をスピーディに滑空するシンセサイザーの勇ましいメロディ。フレディが書いたこの曲は、フラッシュに助太刀するためにやって来たホークマンの大群が空を舞うシーンで使われている。
13BATTLE THEME
ブライアンが書いた「ザ・ヒーロー」の変奏曲。多重録音による狂騒的なギター・サウンドとロジャーのパワフルなドラミングは、クイーンのライヴでのインストゥルメンタル・パートの一部のようにダイナミックに鳴り響く。
14THE WEDDING MARCH
ブライアンのギター・オーケストレーションによって奏でられた「結婚行進曲」。徐々に暗鬱になっていく編曲は、ミン皇帝と結婚させられるデイルの心情を反映している。ブライアン・ファン必聴の佳作だ。
15MARRIAGE OF DALE AND MING (and Flash approaching)
ブライアンの「フラッシュのテーマ」変奏曲とロジャーの荘厳なインストゥルメンタル曲を合体させたミニ組曲。フラッシュがデイルを救出に向かうシーンと結婚式のシーンが交錯しながら展開されるシークエンスのサウンドトラック。
16CRASH DIVE ON MINGO CITY
ブライアンのギター・カッティングに先導されたダイナミックなサウンドがクライマックスに向かってサスペンスフルにテンションを高めていく。デイルを救出するためにフラッシュの飛行艇が突入してくるシーンで使われた。
17FLASH'S THEME REPRISE (Victory calabrations)
ブライアンによる「フラッシュのテーマ」のリプライズ・ヴァージョン。ミン皇帝を倒したフラッシュを称えるように誇らしげにリプレイされる。映画の中で「フラッシュのテーマ」が断片的にでも流れると、いやがおうにも観客の興奮を誘う、インパクトの強い曲。
18THE HERO
「フラッシュのテーマ」や「ミン皇帝のテーマ」を織り込みながら、フレディのヴォーカルとブライアンのギター・オーケストレーションをフィーチャーした劇的なハード・ロック。1981〜82年のライヴでも披露されたブライアン主導の曲。