ミニ・レビュー
76年発表の『逃避行』、77年の『ドンファン…』、そして79年の『ミンガス』、ジョニ・ミッチェルの第9作から第11作にあたるものだ。どれもが豪華多彩なゲスト・ミュージシャンを迎えながら、ゲスト達はこの取っ付きにくい才女に最大級の敬意をふり注いでいるかに思える。特にジャコ・パストリアスのベースは、ジョニのギターにも声にも気持ちよく溶け合う。今となっては『ミンガス』が、ミンガスへの哀悼であると同時に、ジャコへの追悼も込められて聴かれ、なおのこと感慨深い。『ドンファン…』の(4)のよう、広漠とした太古のアメリカへと思いをはしらせ、壮大なシンフォニック・エッセイを描き出してみせた、ジョニのヴィジョンのダイナミズムに、ようやく時代のほうが追いつきつつあるようだ。
ガイドコメント
わずかなメンバーの編成でおくるジョニの内面的世界。アコースティックとはいえ、すでにフォーク・ミュージックのフォーマットから離れている「コヨーテ」など充実の1枚。76年発表。
収録曲
01COYOTE
02AMELIA
03FURRY SINGS THE BLUES
04A STRANGE BOY
05HEJIRA
同題のアルバムのタイトル曲。ジャコ・パストリアスのリード・ベースをフィーチャーしたアンニュイなサウンドをバックに、“愛からの敗走者”としての旅を続ける女性の独白を表情豊かに歌ってみせる。クラリネットやパーカッションの控えめなサポートも光る。
06SONG FOR SHARON
07BLACK CROW
08BLUE MOTEL ROOM
09REFUGE OF THE ROADS