ミニ・レビュー
グランジにも影響を与えたといわれる71年発表の3作目。絶好調の時期に作られただけあって、密度の濃い緊張感に満ちている。重いリフを叩きつけるトニー・アイオミのギターや、それに絡むオジー・オズボーンの歌は、これぞヘヴィ・ロックといった感じ。
ガイドコメント
予約の段階でゴールド・ディスクを獲得した3rdアルバム(71年発表)。彼らがディープ・パープルやレッド・ツェッペリンと並び、イギリスの人気ハード・ロック・バンドとして知られるようになる。
収録曲
01SWEET LEAF
曲名の“リーフ(葉っぱ)”とはマリファナのことだが、その吸引による咳き込みをイントロに、ひたすらシンプルなリフの反復で押しまくるヘヴィ&グルーヴィなナンバー。強引な展開でインスト・パートを挟み込むワザも見事だ。
02AFTER FOREVER
ヘヴィ・リフと豪快なグルーヴをアッパーにまとめた、ノリの良いナンバー。メロディアスだがややヤケクソ気味なオジー・オズボーンのヴォーカルが、どこかやる気なさ気なところも含め、なんともいい味を出している。
03EMBRYO
何本ものアコースティック・ギターを重ねて構成された、わずか27秒のインストの小曲。オリジナル・アルバムでは、暗黒ムードを盛り立て、危急を告げる次曲へのイントロダクションとして効果的に使われている
04CHILDREN OF THE GRAVE
ヘヴィ・リフをザクザクと刻み、地を這うようなグルーヴで押しまくりながらも、妙にキャッチーな歌メロを持ったナンバー。ブラック・サバスのライヴでは重要な位置でプレイされることが多い、初期の代表曲のひとつだ。
05ORCHID
トニー・アイオミのアコースティカルな一面を窺い知ることができる、約1分半のインストゥルメンタル曲。曲名は“蘭”を意味するが、アコースティック・ギター1本で見事にその可憐さが表現されているといえよう。
06LORD OF THIS WORLD
引き摺るようなリフ・ワーク、重々しいグルーヴとタイトなドラミング、読経のように歌い上げるヴォーカル……と、初期ブラック・サバスの魅力をすべて兼ね備えたヘヴィ・チューン。よじれたキャッチーさも魅力だ。
07SOLITUDE
印象的なベース・リフとかすれたフルートの調べ、消え去る一歩手前といった儚げなヴォーカルが奇妙な浮遊感を演出する、幻想的でミステリアスなナンバー。暗鬱でダウナーだが、ヘヴィさはほぼ皆無といっていい。
08INTO THE VOID
重厚なリフで幕を開け、その後も様々なヘヴィ・リフを絶妙につないでいくことで、グルーヴィで不気味な暗黒世界を描き出すドゥーム・メタルの名曲。中間部の弾けるようなジャジィな展開も、いいアクセントになっている。