ガイドコメント
84年発表のLA出身のバンドのデビュー・アルバム。後の彼らが見せるキャッチーさはないが、その分ファンクやラップなどの勢いあふれるサウンドが全開。レッチリらしいミクスチャー・ロックの原型が新鮮な一枚。
収録曲
01トゥルー・メン・ドント・キル・コヨーテ
マッチョなファンク・サウンドはすでに新人らしからぬ個性だが、メタリカルなサウンド・プロダクションがその持ち味を損ねている。彼らはこの曲名をデビュー作に冠するつもりでいたが、レコード会社のゴリ押しでボツに。
02ベイビー・アピール
ラップとロックの融合を試みた意欲的ナンバーだが、意欲が先走りすぎたかアンソニーのラップには勢いがなく、融合ではなく中和に終始。タイトルが示す通り、歌詞にはバンドの自己アピールが延々と綴られている。
03バックル・ダウン
シンセサイザーによる激突音で始まるパワフルなファンク・ナンバー。彼らなりの工夫の跡がうかがえる数パターンを駆使したコーラスが魅力的で、デビュー作収録曲の中では唯一、ドライヴ感を味あわせてくれる佳曲。
04ゲット・アップ・アンド・ジャンプ
女性コーラスやホーンなども配した性急なファンク・ナンバーで、デビュー作収録曲中では突出した一体感を感じさせてくれる。サンバ調の響きを使ったドラムや、人間業とは思えないフリーのベース・プレイが魅力的だ。
05ホワイ・ドント・ユー・ラヴ・ミー
戦後ヒルビリー・ブルースの第一人者、ハンク・ウィリアムスのナンバーをファンクに翻案した刺激作。レッチリが歌っても違和感ない歌詞に、ハンクと彼らに共通するマチズモの存在を確認できる。貧相なドラムの音にはやや難あり。
06グリーン・ヘヴン
のちの「ライチャス・アンド・ウィキッド」の礎になったと思われるラップ・ロック・ナンバー。オールドスクール・スタイルのラップによって、為政者や人種差別主義者を挑発。カオティックなギター・フレーズが絶妙。
07マミー・ホエアズ・ダディ
エロティックな女声コーラスと近親相姦趣味をチラつかせたアンソニーのラップが絡み合うインモラルなナンバー。この時期の曲ではベストの出来だとフリーが語る通り、柔らかなジャズ・ファンク・サウンドが魅力的。
08アウト・イン・L.A.
100人斬り達成目前の男を主人公にした妄想力のたくましい歌詞。ストーリー性のある歌詞をラップと音でコミカルに演じる姿に、レッチリらしさが芽生え始めている。フリーの絶品ベースにまるで呼応できないドラムスは説教ものだが。
09ポリス・ヘリコプター
アンソニーが警官の心得らしきものを連呼し続ける、ほとんどデモ音源のような短い曲。試奏段階のようにも思える単調なリフが連なっているが、これが意外や意外のグルーヴ感であふれている。単調さゆえか演奏に妙な一体感が。
10ユー・オールウェイズ・シング・ザ・セイム
11グランド・パピィ・ドゥ・プレンティ
デビュー作をプロデュースしたアンディ・ギル(ギャング・オブ・フォー)が連名でクレジットされているインスト曲。あまりレッチリらしさが感じられないダークなサウンドは、むしろギャング〜のファンに好まれそう。
12ゲット・アップ・アンド・ジャンプ (デモ)
13ポリス・ヘリコプター (デモ)
14アウト・イン・L.A. (デモ)
15グリーン・ヘヴン (デモ)
16ホワット・イット・イズ (デモ)