ミニ・レビュー
リック・ウェイクマンがゲスト参加し、メンバーもシンセサイザーやフルート、バグパイプなどをプレイした、意欲的な5作目(73年)。ダークなグルーヴに加え、崇高さすら感じられる瞬間もあり、実験的な音作とは微妙なバランスを保つ場面も。
ガイドコメント
ブラック・サバスの5thアルバム(73年発表)。ゲスト・キーボードにリック・ウェイクマンを迎えるなど、音楽性に新しい要素を加えようとする試みが成功している。
収録曲
01SABBATH BLOODY SABBATH
必殺リフが炸裂する、オジー・オズボーン期のブラック・サバスを代表する名曲のひとつ。ヘヴィなグルーヴと呪術的なヴォーカルで押すメイン・パートから一転、アコースティックなブリッジ、そして、後半のドラマティックな展開が絶妙だ。
02A NATIONAL ACROBAT
ブラック・サバスの“リフの美学”を体言するかのようなナンバー。シンプルながら力強いグルーヴを有しており、ヴォーカル・パートのドラマ性も見事だが、何よりラストまで劇的な展開が持続するのが素晴らしい。
03FLUFF
初期ブラック・サバスのアコースティックな側面を象徴するような美しいインスト・ナンバー。爪弾かれる生ギターに絡むピアノとハープシコード、そして、エレクトリック・ギターのバランスが、なんとも叙情的かつ官能的だ。
04SABBRA CADABRA
“ヘヴィ・リフのサバス”ではないファンキーでノリの良い一面が強く出たナンバー。リック・ウェイクマンがピアノとシンセサイザーを客演しているのにも驚かされるが、サイケな浮遊感とダンサブルなアレンジもインパクト充分だ。
05KILLING YOURSELF TO LIVE
軽快なリフ・ワークと図太いグルーヴが見事に同居したメロディアスなナンバー。トレモロ・サウンドを効かせたギター・ワークがサイケな昂揚感をかき立て、オジー・オズボーンのヴォーカルもヤケにテンションが高い。
06WHO ARE YOU?
メイン・リフがシンセサイザーで奏でられるという、ブラック・サバス史上最もキテレツなナンバー。とはいえ、ヘヴィ・ギターなしでも彼ら特有の粘っこいグルーヴは機能しており、中間部のメロトロン使用もインパクト絶大だ。
07LOOKING FOR TODAY
軽快なリズムとメロディアスなヴォーカルがブラック・サバスの一般的イメージを覆すかもしれない、ポップで実験的なナンバー。さりげなく導入されたフルートなど、アレンジの練り込みも聴きどころのひとつだ。
08SPIRAL ARCHITECT
アコースティック・ギターの爪弾きに導かれ、ドラマティックにスタートするスケールの大きなオーケストラ・ロック・チューン。ストリングス・セクションを導入しての壮大かつ華麗なアレンジに思わず耳を奪われる。