収録曲
01GIRL ON THE PHONE
自分のことを本人以上に知っている“あの娘”にうんざり、と歌うR&B風ビート・ナンバー。『セッティング・サンズ』のコンセプト・アルバム化の頓挫により急遽書かれた埋め草曲だが、そうとは感じさせない輝きがある。
02THICK AS THIEVES
親密を意味する慣用句を用いた原題どおり、一緒に盗みを働いた幼なじみ三人の絆、そして大人になることで生まれる行き違いを歌っている。だんだんと高揚するシンプルな曲調で、ビートもコーラスも躍動感たっぷりだ。
03PRIVATE HELL
誰もが抱える疎外感、誰もが落ちる自分だけの地獄を描いたシリアスなナンバー。『セッティング・サンズ』用の曲が足りずに急慮書き上げた曲だが、そのわりには完成度が高い。歌詞同様、サウンドもどっしりと重たい。
04LITTLE BOY SOLDIERS
曲調が目まぐるしく変化する華やかな組曲風構成は、ザ・フーやキンクスのロック・オペラ作品に通じる鮮やかな展開。頓挫した『セッティング・サンズ』のコンセプト・アルバム化計画の名残りを夢想させてくれる一曲だ。
05WASTELAND
幼なじみ再会を呼びかけるメロディアスなナンバー。『セッティング・サンズ』制作当初のコンセプト“幼なじみの少年の物語”が踏襲されている一曲だ。お世辞にも上手いとは言えないリコーダーの音色に得がたい余韻が。
06BURNING SKY
『セッティング・サンズ』制作当初のコンセプト“幼なじみの少年の物語”を踏襲した一曲。成功した友人からの嫌味な手紙を模した歌詞を、R&Bとロックを不完全に折衷した奇妙なリズムで増強。最後に突然入ってくるドラに意表を突かれる。
07SMITHERS-JONES
ブルース・フォクストンの作で、リード・ヴォーカルも彼が担当。しがない会社員ジョーンズ氏の出勤風景から解雇までが、皮肉と同情を交えて描かれている歌詞が面白い。アルバム版ではストリングスが被せられている。
08SATURDAY'S KIDS
労働者階級の若者の週末を歌った享楽的ビート・ナンバーで、歌詞には若くして画一的な人生を選んでしまう人々への怒りが見え隠れ。“システムを憎め、でもシステムって何よ?”と歌うくだりで、彼らの本質を見事に表現。
09THE ETON RIFLES
Oiパンク調の荒ぶるサビに、声上げ、拳突き上げるファンも多かろうナンバー。騒然としたイントロから、しれっとポップに転じる凝った展開や、抑制されたベース・プレイが醸し出すクールな興奮など、聴きどころの多い一曲。
10HEAT WAVE
ザ・フーもカヴァーしたマーサ&ザ・ヴァンデラスのモータウン・クラシック。あえて不安定なリズムでコピったフーの茶目っけに対し、彼らは持ち前の生真面目さで対抗。スピーディなロックンロールへの見事な調理ぶりだ。