ミニ・レビュー
目黒のサンマじゃないが、ユーミンは荒井に限るという世代には嬉しいベストでしょう。憧れのライフ・スタイルと洗練されたサウンドとが一体となり具現化したのがユーミンであった時代をここに見るのは、70年代に青春を送った世代の内の10万人程度かも。
ガイドコメント
70年代にユーミンが荒井由実名義で発表した曲からなる2枚組ベスト。「卒業写真」はもちろん、「ルージュの伝言」「中央フリーウェイ」「あの日にかえりたい」などがリマスタリングで甦る。
収録曲
[Disc 1]
01ひこうき雲
02恋のスーパーパラシューター
03空と海の輝きに向けて
04きっと言える
05雨の街を
06返事はいらない
07そのまま
08瞳を閉じて
09やさしさに包まれたなら
1974年発表、不朽の名盤『ミスリム』に収録されたナンバー。アニメ映画『魔女の宅急便』のテーマ曲として89年にリヴァイヴァル・ヒットとなった。当時シングルで出たヴァージョンは微妙に演奏内容が違う。
10海を見ていた午後
1112月の雨
12魔法の鏡
13COBALT HOUR
14ルージュの伝言
1975年リリースの、泣く子も踊り出す歴史的名盤『COBALT HOUR』に収録された曲で、米国ポップス黄金期のブリルビル系オールディーズへのオマージュというべき楽しい一曲。コーラス・アレンジは山下達郎。
15ベルベット・イースター
[Disc 2]
01卒業写真
歴史的名曲と断言することに異論を唱える人はいないであろう名曲。ハイ・ファイ・セットのヴァージョンも傑作と名高いが、キャラメル・ママのヘッド・アレンジが切ないユーミン・ヴァージョンこそ“青春そのもの”。
02航海日誌
03CHINESE SOUP
04少しだけ片想い
05雨のステイション
06あの日にかえりたい
1976年に発表したシングルで、初のチャート1位を獲得した記念すべき楽曲。ボサ・ノヴァのリズムが印象的で、イントロの有名な「〜ダバダバ」はユーミン曲の良き理解者、ハイファイ・セットの山本潤子によるもの。
07さざ波
0814番目の月
荒井由実名義のラスト・アルバム『14番目の月』に収録されたタイトル・チューン。洗練されたシティ・ポップ・ナンバーの中で異彩を放つダイナミックなロック・チューン。コンサートではさらにロック化する。
09さみしさのゆくえ
10朝陽の中で微笑んで
11中央フリーウェイ
歌詞もメロディもすべてが有名という、ジャパニーズ・シティ・ポップの幕開けを告げた超名曲にして歴史的名演。特にリーランド・スクラーのメロディアスなベース・ラインは絶品。
12天気雨
13避暑地の出来事
14グッド・ラック・アンド・グッドバイ
15翳りゆく部屋
オリジナル・アルバムには収録されなかった荒井由実の傑作。荘厳なパイプ・オルガンの音色に乗せて歌われる少女の内省的世界が儚くも美しい。「私が今死んでも〜」のフレーズはかなり強烈だ。