ガイドコメント
89年5月発表のアルバム。レコーディング中にフレディが自らの病気を明かしたため、分解しかけた4人の結束が固まり、緊張感あふれる力作が完成。作曲者も個人ではなくクイーンとなっている。
収録曲
01PARTY
ジャングル・ビート風のリズムと賑やかなコーラスをフィーチャーしたタイトル通りのパーティ・ソング。「戻って来いよ。また一緒にプレイしよう」という歌詞の一節は、当時のクイーンの4人にとっては合言葉みたいなものだったのかもしれない。
02KHASHOGGI'S SHIP
「俺のパーティが終わったと言ったのは誰だ?」という一節から始まるハード・ロッキンなパーティ・ソング。ブライアンのギターが唸りを上げる演奏もパワフルだが、恐ろしくテンションの高いフレディのヴォーカルが何よりも素晴らしい。
03THE MIRACLE
ハープのピチカートから始まり、多重録音されたギター・サウンドや完璧なコーラス・ワークを駆使し、劇的に展開されていくミニ組曲。最後は美しいコーラスの繰り返しでフェイド・アウト。4人にそっくりな子供たちが出演したビデオ・クリップも話題になった。
04I WANT IT ALL
分厚いギター・サウンドをバックに、コーラスを従えたフレディが歌うハード・ロッキンな曲。狂騒的なギター・ソロが披露されたかと思えば、途中でブライアンが歌う別の曲が挿入されたりもするミニ組曲形式がいかにもクイーン。全英3位のヒットを記録。
05THE INVISIBLE MAN
シンセ・ベースを使ったクイーン流ディスコ・ミュージック。フレディが秘密めかした声音で「僕は透明人間」と歌う。4人を順番にフィーチャーしてみせる構成も楽しい。TVゲームをモチーフにしたビデオも話題になり、全英チャート12位のヒットを記録。
06BREAKTHRU
美しいコーラスから始まる曲。すぐにアップ・テンポのディスコ調ビートへと展開し、コーラスを引き連れたフレディが「突破口を開け」と歌うラブ・ソング。蒸気機関車をフィーチャーしたビデオでも話題になったが、この曲のリズムは確かに機関車的。
07RAIN MUST FALL
カラフルなパーカッション群が奏でるラテン系のリズムに乗って、単純明快なメロディで「どんな人生にも多少の雨はつきものさ」とフレディがポジティヴに歌う楽天的なポップ・ソング。ブライアンのギター・ソロもメロディックで美しい。
08SCANDAL
フェイド・インから始まるヘヴィなロック・チューン。ストリングスによるリフに先導され、フレディが力強く歌い上げる。88年に父の死と離婚をほぼ同時に経験し、ゴシップ雑誌の餌食となったブライアンが書いたマスコミ批判の唄でもある。
09MY BABY DOES ME
R&B調のシンプルなサウンドをバックに、フレディが粘り腰のヴォーカルで「僕のベイビーは……」と歌うポップ・ソング。異性に対する不信感を表明した歌詞だが、フレディが歌うと複雑なニュアンスが……なんて考えるのも一種の性差別になるのかな?
10WAS IT ALL WORTH IT
神秘的なイントロからギター・リフが唸りを上げる展開へと突入し、中盤では映画音楽ばりのオーケストラも登場するドラマティックなミニ組曲。「ロックンロール・ライフにはそれだけの価値があったのか?」という疑問を繰り返す歌詞はヘヴィ。
11HANG ON IN THERE
シングル「アイ・ウォント・イット・オール」のB面収録曲。幻想的なイントロから始まるパワフルなロック・チュ-ン。「諦めるな」「有り難いことに君はまだ生きている」などの歌詞はフレディが自分自身に言い聞かせているようにも感じられる。
12CHINESE TORTURE
ブライアン愛用のギター“レッド・スペシャル”が大活躍するインストゥルメンタル曲。ストリングスをバックに一人二重奏などを披露する。ライヴなら7分はプレイできるはずのモチーフだから、100秒あまりで終わってしまうのがもったいない。
13THE INVISIBLE MAN
12インチ・シングルでリリースされた「インヴィジブル・マン」のリミックス・ヴァージョン。クラブやディスコで踊るためのヴァージョンだが、ドラムスのキック連打や内緒話みたいなヴォーカルをヘッドフォンで聴いてみるのも面白いかもしれない。