ガイドコメント
前作『キャラバンサライ』でひとつの頂点を極めたサンタナが、新たな方向性を示した通算5作目。カルロス・サンタナのソロ作『魂の兄弟たち』に通じるジャズ的アプローチが随所で見られる1973年作。
収録曲
01GOING HOME
アリス・コルトレーンの編曲を基にしたドヴォルザークの交響曲第9番『新世界』第2楽章。ツイン・キーボードやドラムス/パーカッション群をフィーチャーしたドラマティックなサウンドが新生サンタナ・バンドの新たな旅立ちを祝福するかのように高らかに鳴り響く。
02LOVE, DEVOTION & SURRENDER
アルバム『魂の兄弟たち』の原題でもある導師スリ・チンモイの著書からの引用句をタイトルに冠したヴォーカル曲。巧みに抑制された新生サンタナ・サウンドをバックに、カルロス、ウェンディ・ハース、レオン・トーマスが順番に「愛と献身と奉仕」について歌う。
03SAMBA DE SAUSALITO
西海岸の港町ソウサリートをイメージしたチェピートのインストゥルメンタル曲。ブラジル音楽の匂いが濃厚に漂う1曲。トム・コスターのエレクトリック・ピアノ・ソロがフィーチャーされている。チェピートの凄まじい高速フィルインが終盤に一度だけ聴ける。
04WHEN I LOOK INTO YOUR EYES
レオン・トーマスが歌うシュリーヴ=コスターの曲。独自のヨーデル唱法も駆使したレオンのヴォーカルが素晴らしい。ジョー・ファレルのフルートとアルマンド・ペラーザのボンゴがフィーチャーされている。終盤には変則的なファンク・ビートも登場する。
05YOURS IS THE LIGHT
フローラ・プリムが歌うリチャード・カーモードの曲。ブラジル音楽のエッセンスを詰め込んだサンタナ流フュージョン・サウンドに乗って、フローラが爽やかな歌声を披露する。ボブ・ヤンスのフルートがフィーチャーされ、カルロスのギター・ソロも楽しめる曲。
06MOTHER AFRICA
ハービー・マンの曲を基にしたカルロス=コスターの共作曲。カリンバの素朴な音色から始まり、ハチロクの強烈なアフロ・ビートからマンボへと展開する。ソプラニーノ・サックスがフィーチャーされているが、言うまでもなくドラムス&パーカッション陣も大活躍。
07LIGHT OF LIFE
カルロス、トム・コスター、リチャード・カーモードの共作曲。ストリングスをフィーチャーしたフュージョン・サウンドをバックに、レオン・トーマスが魅力的な歌声を披露する。新生サンタナを象徴する曲のひとつ。当初はアルバム・タイトル曲になるはずだったという。
08FLAME-SKY
カルロスが兄弟子ジョン・マクラフリンと共に導師スリ・チンモイに捧げた曲。ふたりの共演盤『魂の兄弟たち』のサンタナ・ヴァージョンのようなフュージョン・サウンドが楽しめる。11分を超える大作だから、カルロス&ジョンのギター・ソロもたっぷりと堪能できる
09WELCOME
カルロスが敬愛するジョン・コルトレーンの名曲のカヴァー。カルロスの祈るようなプレイが聴き手の胸を打つ。コルトレーンのテナー・サックスのフレージングをカルロスがエレクトリック・ギターで再現しているだけなのに、どうしてこんなに感動的なのだろう?
10MANTRA
オリジナル・アルバム未収録曲。『ロータスの伝説』収録のライヴ音源のみが発表されていた曲の幻のスタジオ・ヴァージョン。ドラムスとベースを主軸にしたユニークなリズム・パターンを堪能するための曲。これを聴くだけで悟りが得られるわけではない。